まち活マガジン No.30 2024年3月号
- 2024/2/23
- まち活マガジン
心をこめたハンドマッサージで笑顔をふやす
同じ目線で、手と手を触れ合わせハンドマッサージをすると、
不思議と心が通い合う。口紅をつけると表情が明るくなって
笑顔がはじける。そして自分も元気になれる。
手も心もぽかぽかとあたたかくなる魔法のような時間を届けたい。
Contents.
まち活団体紹介
お化粧ボランティア「りんごの木」
あびこのおいしいみーつけた!
NORTH LAKE CAFE & BOOKS
白樺派のまちの見える化に向けて
第4話 白樺派のまち我孫子の演出
お化粧ボランティア「りんごの木」は、高齢者施設等の入所者への活動を約20年前から行っている。笑顔を少しでも増やしたいとの思いで活動している代表の髙橋禮子さんにお話を聞いた。
Q:「りんごの木」の活動内容について教えてください。
主に高齢者施設の入所者にハンドマッサージをしたり、マニキュアを塗ったり、簡単なメイクを行ったりする活動をしています。ハンドマッサージは一対一で向かい合って行います。ハンドマッサージの後、希望者にマニキュアをして、顔に化粧水、乳液、口紅を塗り、要望があれば眉を描きます。施術中はおしゃべりをしながら、コミュニケーションを取ることを心がけています。その後は、懐かしの昭和歌謡などをみんなで一緒に歌って、楽しい時間を過ごします。
Q:どのくらいの頻度で活動をしていますか。
大体6、7か所の施設を月1回程度訪問します。規模が大きい施設だと担当は5人くらい、小さい施設だと1人で行く場合もあります。1人1か所が原則ですが、たまに2か所に行くこともあります。車で動ける人もいますが、基本的には自宅から徒歩や自転車で通える施設へと、無理のない範囲で担当を決めています。
ただ、今はコロナの影響でまだ活動を休止しています。直接肌に触れる事が避けられないので、再開するのはなかなか難しい状況です。現在は2か月に1回、定期的にミーティングを行い、今後の要請に応えられるよう準備をしています。 また、市民活動団体で行う「市民のチカラまつり」や、近隣センターこもれびでの「ボランティアメッセ」などに参加して、活動の紹介を継続して行っています。去年9月の「市民のチカラまつり」では、体験者が1日100名を超えるほど盛況でした。お年寄りだけでなく、子どもから大人まで幅広い世代の方にハンドマッサージを体験してもらい、好評をいただきました。体験して、家に帰った後、家族にハンドマッサージをしてあげるなど、触れ合う時間が取れるといいなと思います。
Q:「りんごの木」ができたきっかけを教えてください。
今から約20 年前に、我孫子市社会福祉協議会のボランティア講座を受講した人たちによって活動が始まりました。その後、メンバーの増員を目的に、10 年前に「お化粧ボランティア養成講座」を開催しました。企業から講師を招き、ハンドマッサージの冊子を元に4回コースの研修を行いました。ハンドマッサージの方法だけでなく、ボランティアとしての心構えの講話もあり、最終回は施設での実習も体験しました。その養成講座には約25名の参加者があり、10 名ほどがボランティア活動に参加しました。
現在メンバーは12名です。60代、70 代が中心ですが、以前は親子で活動に参加している人もいました。
Q:ハンドマッサージやメイクというと女性対象のイメージがありますが。
お化粧というと、やはり最初は女性が集まります。でもハンドマッサージは、スタッフが男性の入所者にやってみないかと声をかけると、参加してくる方もいます。マッサージ後は「手の血行が良くなった」と喜んでくれます。「30年ぶりで女性に手をにぎってもらった」と喜ぶ方もいたんですよ。最後の歌の時間になると男性がはりきる場合も多いです。みんなで楽しい時間を過ごすことができればいいと思います。
Q:ハンドマッサージやマニキュア、お化粧の効果とはどのようなものでしょうか。
「1秒に3 センチ」これはハンドマッサージの効果が一番出るペースと言われています。早すぎても遅すぎてもいけません。このペースを保ちながら心を込めてハンドマッサージをすると、血行もよくなりますし、リラックスして心がゆったりします。10分足らずの時間ですが、ほんのひとときでもこのような気持ちになることが大事なのです。 また、普段はメイクをしない方でも、口紅をするだけで表情が明るくなります。マニキュアをした方が、次の回に「大事に取れないようにしていた。ほら、まだ残ってるよ」と嬉しそうに爪を見せてくれたこともありました。お誕生日やクリスマスにはラメをつけたり、爪の先に違う色をプラスしたり、洋服の色に合わせてネイルを選んだりすることもあります。ほんのちょっとでもおしゃれを楽しむ気持ちというのはワクワクして元気がでるものです。
Q:活動していて嬉しかった事は何ですか。
「指の先まであったかくなった」「爪がきれいになった」と相手が喜んでくれることが一番うれしいです。「私はいいわよ」と最初は言っていた人も、きれいになったお隣の方の姿を見て「私もお願いします」と参加してくれることもあります。 そしてこの活動は同時に自分の為にもなります。「ありがとう、また来てくださいね」と笑顔で言われると元気をもらえます。それにマッサージをした自分の手もあたたかくなり血行が良くなりますので、ちょっと得をした気分になりますよ。 また、お年寄りに対してどのように接すればいいかなど、心構えが身に付きました。 自分がいつ介護してもらう立場になるかもしれないことを常に意識しながら、文字通り、同じ目線で相手に対して接することの大切さを実感しました。
Q:活動していて大変だったことや、気を付けていることはありますか。
高齢者施設ということで、特に認知症の方への対応には細心の注意を払っています。口紅やネイルエナメルなど小物を取り扱うので、食べ物と間違えないよう、離れた場所に置いたり、使用後はエプロンのポケットにすぐ入れたりするなどして工夫しています。 また、装置に指を入れ健康状態を計測している施設では、その指のみネイルを塗るのを避けるなど、その方の生活に支障が生じない範囲での施術を行うようにしています。
また、おばあちゃんやおじいちゃんと呼ぶのではなく「○○さん」ときちんと名前で呼ぶなど、敬意をもって接するように意識しています。 活動に使う化粧品やネイルエナメルなどの管理も大切です。ネイルエナメルも時間が経つと固まってしまうので、定期的に確認し買い直すなど、備品の状態をチェックしています。赤い羽根共同募金からの補助金のおかげで安心して補充できます。
Q:今後はどのような形で活動を続けていきたいですか。
どのボランティアにも共通して言えることですが、ボランティアは自分のできる範囲で、できる事を行うというのが基本です。「りんごの木」の活動も、その考え方は同じです。私自身は幸運なことに今、健康で時間があり、活動ができるという環境にあるので、できる範囲で続けていきたいです。ボランティア保険があることもありがたいことですね。
コロナの状況が落ち着き、様々な活動が再開されていますが、「りんごの木」の活動は身近で直接接触することが必須なので、残念ながら再開するのにはまだ時間がかかると思います。それでも、みなさんの笑顔や生き生きとした表情を思い浮かべると、この活動はとても大切だと感じています。再開できるようになったら、またしっかり勉強し、技術を磨き、準備をして、一人でも多くの方に笑顔になってもらえるようにしたいと考えています。
インタビュー後、実際にハンドマッサージをしてもらった。確かに指先がぽかぽかとして血行が良くなったのには驚いた。そして自然と笑顔が出て、おしゃべりがはずんでいた。再開を心待ちにしている人もいるだろう。活動ができる状況や環境が整い、良い方向に向かうことを願う。
(取材・文/まち活ライター 外園若菜)
心地よい音楽が流れる、我孫子の文化の発信地。
ノースレイクカフェ&ブックス
かつて白樺派の文人や陶芸家たちが居を構え、歴史と文化が息づく街・我孫子。近年では、そんな文化の薫りに魅せられて移住する人も多いと聞く。我孫子のシンボルでもある手賀沼公園から徒歩5 分。今回訪れた「ノースレイクカフェ&ブックス」は2014年にオープンし、今年で10 年目を迎える。
「図書館はいつもにぎわっていて、この街は本が好きな人が多い印象でした。おいしいコーヒーが飲めて、ゆっくり本を読める場所がもっと増えたらいいなと思ったのがオープンのきっかけです」と教えてくれたのは店主でカフェ責任者の松田昌江さん。本とレコードを担当する夫の拓巳さんとともにお店を経営している。
買い取った古本とレコードを独自の目利きで選び抜き、店頭とウェブで販売している。我孫子にゆかりのある本や詩集、図録、文芸誌など幅広いジャンルの本が置いてあり、商品の入れ替えはこまめに行なっているのだそう。
「今日は女性のお客様が多いですが、普段は男性のお客様も多いんです」と昌江さん。ランチメニューは2 ~ 4 種類用意し、取材日は、チキンときのこのドリア、ひよこ豆の焼きカレー、チリコンカン、ナムルライスを提供していた。どのメニューも、根強いファンがついているのだとか。
「オープン当初は店内で読書会やワークショプなども行なっていました。今は来てくださったお客様に気持ちよく過ごしてもらえるよう、本をきちんと売り、よりおいしいコーヒーを淹れられるようにと、本来の仕事に集中していきたい」と語る。コーヒーの香りと居心地のよさに時間を忘れそうになるブックカフェ。手賀沼散歩の寄り道に立ち寄ってみては。
■NORTH LAKE CAFE & BOOKS
我孫子市緑2-11-48
営業日・営業時間は
SNSでご確認ください
HP : northlakecafeandbooks.com
白樺派のまちの見える化に向けて
第4話 白樺派のまち我孫子の演出
吉澤淳一 我孫子の景観を育てる会
第1 話から第3話にかけ3つのまちを巡ってきました。
翻って我孫子のまちを、特に嘗ては文人たちの活動の舞台であった旧我孫子町のあたりを歩いてみると、首都圏のベッドタウン化している普通のまちなみが広がっています。白樺文学館と文人たちの住まいの跡などは点としてありますが、線や面で彼らの足跡を辿ることは難しいのです。
一方で、文人たちの活動や作品解説については、教育委員会や市民活動団体の研究者たちの講演や文章、まち歩きガイドの案内で知ることはできます。ユニークなものとして、新内節の若き家元による『和解』の創作曲の発表や、『流行感冒』などの朗読とコンサートなどもあって、楽しませてもらいました。それらは、その時間にそこに行かねばならない非日常の世界です。そこで、誰もが普通にまちを歩いていて、同じような情報や感動を得られないだろうかと考えました。
我孫子駅南口駅頭に文人たちの集合写真のプレートがあります(上の写真は、造形作家吾妻勝彦氏によるVR写真です)。よく見ると横のポールに本が載っていて、志賀直哉の『和解』の一節が開かれています。例えばこれを読んでまちに出てみると、彼方此方にその続きがあるという仕掛けです。他にもいろいろなことが考えられますね。
「新年福来る」で朗報が舞い込んできました。我孫子に郷土資料センターを作ろうという活動を長年進めている5 つの市民団体(※)が、一緒に考えてくれるというのです。
そして、文化・スポーツ課、商業観光課が後押ししてくれればと、これは初夢ですが夢は勝手に膨らみます。
この連載を勧めてくれた市民活動ステーションに感謝しつつ閣筆させていただきます。
(※)我孫子市史研究センター、あびこガイドクラブ、我孫子の文化を守る会、ふるさと我孫子ガイドの会、我孫子の景観を育てる会
施設利用のご案内 我孫子で活動を「みつける」「はじめる」お手伝いをしています。 ■開設時間 9:00-21:00 17時以降は予約のみ開館。17時以降のご予約は2日前までにお願いします。 ■休館日 毎月第2・4月曜日 祝日は開館270-1151 我孫子市本町3-1-2 けやきプラザ10階 Tel・Fax 04-7165-4370 https://www.td-f.co.jp/abikosks/ abikosks@themis.ocn.ne.jp |
まち活マガジン あびこ市民活動ステーション情報紙No.30 発行日:2024年3月1日/発行元:あびこ市民活動ステーション[指定管理者:(株)株式会社東京ドームファシリティーズ] デザイン・レイアウト/人を通して障害を識るフリーペーパー「gente」編集長 大澤元貴 |