まち活マガジン No.32 2024年9月号

子育て支援だけでは解決しない生活困窮者への支援や、進学・就職の道へのサポート。
貧困の連鎖を変えたいというポリシーで活動するNPO法人アビィーズのメンバーに
共通するのは、一人ひとりに寄り添って、困りごとを解決したいという思いだ。

写真提供:NPO法人 アビィーズ

Contents.

まち活団体紹介
NPO 法人 アビィーズ

あびこのおいしいみーつけた!
パティスリー アビニヨン

シニアまち活スタート塾
我孫子を歩いて知る編 報告

つなぐ人~コーディネーターより


あびじゅくの様子

Q:宮本さんがNPO 法人アビィーズを立ち上げたきっかけとは。

宮本:貧困により学ぶ機会の不均等がおき、連鎖していく状況を変えるため、学習支援をやりたいと思っていました。21年間、我孫子市の市議会議員を務めたのち、2011年に任意団体として小学生から中学生までを対象にした無料の学習塾「あびじゅく」を始めました。最初の半年くらいは近隣センターの部屋に貼り紙をして、ひたすら利用者が来るのを待つ日々。そのうち人見知りのお子さんを連れてお母さんが相談に来られて、徐々に口コミで広がりました。現在あびじゅくは、保育園児から高校生まで5 ~ 8名の利用者に対して、指導者は4 ~ 6 名います。
 2013年にNPO法人を設立。我孫子市の提案型公共サービス民営化制度を活用して病児保育を実施する、という事業の拡大を掲げ、ファミリーサポートセンターの運営に手を挙げました。私自身、働きながら子育てをしている時に、病児保育を頼める先がない人は、仕事を諦めるか、最悪、子どもだけ置いておくしかない現状を見て来たからです。採択されてからの6年間は、徹底的に利用者の立場に立った支援を心がけ、活動件数、会員数共に受託前の3倍に拡大させました。日高さんと早坂さんは、その頃から同じ思いを持って一緒に活動している心強い同志です。

Q:活動の中で大切にしていることを教えてください。

宮本:一貫しているのは利用者視点であることです。ハンディを持っている子についても不安なく活動するために勉強会を行ったり、我孫子市の教育研究所(現:教育相談センター)やこども発達センター、保健センターと連携しました。視覚障がいのある子や線路に座り込んでしまう自閉症の子、車椅子の子、車の後ろからものを投げてくる子もいましたが、依頼は断りませんでした。
 市からのファミリーサポートセンターの受託が終了した後も、私たちは活動を続けています。おねがい会員(支援を希望する人)が約100人、まかせて会員(支援する人)が約30人です。昨年度(2023年)依頼を受けた件数は3985件でした。私たちの強みは、行政や市の事業ではできない部分をきめ細かく対応することだと自負しています。

Q:おねがい会員に接する際に普段から心がけていることとは。

日高:私は2006年から我孫子市社会福祉協議会の嘱託職員としてファミリーサポートを担当しています。困っている人を応援したい、助けたいという思いが根底にあります。これまで依頼から現地直行まで、一番短かったのが30分くらい。「残業になってお迎えに間に合わない」っていう人を私たちがサポートできなくて何の意味があるの?と思っています。他にも、子どもの保育園一時預かりを利用する人は、月曜日の朝にお昼寝用の布団を持っていかないといけないのですが、車のない人からは雨の日だけ当日の朝5 時半に依頼が来ることもあります。
早坂:私もファミリーサポートに関わって約20年。大変なことはいっぱいあるけれど、子どもたちが可愛いから続けています。布佐地区は、まかせて会員がほぼ一人。おねがい会員も少ないですが、バングラデシュやスリランカなど外国人の方が多いので、サポート以外に家電の使い方や慣習の違いを聞かれたりもします。

クリスマスギフトボックスづくり

Q:現在、親たちにはどんな課題があると感じますか。

宮本:私は「差」があるのかなと感じます。経済的にゆとりをもって子育てしている人がいる一方で、親が自分のことで精一杯で余裕がなく、子どもにまで手が回らないこともあるのかなと思います。
日高:以前からずーっと思っているのは、宮本さんみたいに一人ひとりの親の環境まで考えるという姿勢が公的機関にはない。手が届いているようでいて、肝心な時に手助けしてくれないという現状を見てきました。例えばお母さんが息をするので精一杯、みたいな状況の中で、公的サービスを受けるための書類が提出できないからサポートを受けられないという事例がありました。市のケースワーカーがついているのですから、きめ細かくサポートしてあげてほしいです。一つ好転すれば就職して安定した生活が送れるようになる場合もあるのですから。

Q:おねがい会員から言われて、心に残っている言葉は。

宮本:「アビィーズさんのお蔭で仕事をやめなくて済んだ」という言葉をもらった時はうれしかったですね。赤ちゃんの時から送迎してきた子が小学生になり、あびじゅくに来る子もいて、10年以上サポートしている子も多いです。
日高:土曜日に保育園に行きたがらない子を預かっていましたが、お母さんから「卒園して無事に小学校に行っています」って言われた時は、嬉しかったです。
早坂:外国の方だと慣習や制度が分からなくて無茶な要望もあったけれど、最後には感謝されます。国によって文化が違うと常識も違うので、異文化交流だと思って楽しみながら活動しています。

こども料理教室の様子

Q:フードバンク事業やその他の支援活動について教えてください。

宮本:子育て支援だけでは支援にならないケースも出てきます。フードドライブの食品回収は年に3回、あびこショッピングプラザで実施。その他にフードバンクちばの回収期間は年に3回あり、集まった食品をボランティアで約30軒に配っています。その際、缶詰や常温保存品だけではなく、子どもがいる家庭には野菜を届けたいと考えました。わくわく広場天王台店とあびこショッピングプラザ店のご協力で、週1回消費期限の近い野菜をいただき、その日のうちに各家庭に届けています。さらに朝食抜きで登校するケースがあることから、ブンカ・ドーのご協力でパンをいただき、子どもたちが楽しみにしています。
 2023年は休眠預金活用事業の実行団体に選ばれ、事業拡大をすることになったので、毎月のように子ども料理教室やバス遠足、工作や草木染めの体験学習などの行事を実施。忙しいながらも、私たちも子どもたちも1年間すごく楽しみました。特に手賀の丘青少年自然の家の宿泊体験学習(14家庭総勢50名参加)は、若いお父さん、お母さんが野外炊飯や野外活動を楽しく盛り上げてくれました。同じく実行団体だった(株)Hafen(ハーフェン)に委託したミナトスポーツクラブ天王台での「泳げない子の水泳教室」も引き続きやりたいと思っています。

「泳げない子の水泳教室」

宮本:フードバンクもあびじゅくもボランティアなので、せめて次の人に「やりませんか」と、声をかけられるくらいの人件費が出る活動として継続させたいです。今はそのために活動を支える賛助会員を増やす努力をしています。

「宮本さんの情熱に頭が下がる」と話す早坂さん(左)と日高さん(右)。「お二人がいるから成り立っています」と宮本さん(中央)

チョコレート細工もすてきなタルトカフェ540-円
フランスの蚤の市で見つけたアンティーク雑貨が並ぶ

 そのショートケーキに出合ったのは数年前のこと。誕生日に家族が買ってきてくれ、一口食べたときの衝撃は今でも忘れられない。しっとりとしたスポンジ生地に上品な甘さの生クリーム、いちごの酸味がアクセントとなり、口の中でみごとに調和していた。それ以来、すっかり虜になってしまったお店こそ、天王台駅から徒歩2分の場所にある「パティスリー アビニヨン」だ。 現オーナーシェフである坂本昌子さんのご両親が、1980年にパンと洋菓子の店としてオープンしたのがはじまり。坂本さんは製菓学校を卒業後、東京のパティスリーを経て渡仏。2年半にわたってフランスのパティスリーと製菓学校で働いた後、両親からこの店を引き継いだ。
 ブルーの扉を開けると、フランスの田舎を思わせるアットホームな店内。ずらりと並んだ伝統的な焼き菓子と見た目にも美しいケーキに心が躍る。 坂本さんのおすすめは、フランスで働いていたときに出合ったケーキを再現したという「タルトカフェ」。バターの香りとサクサクとした食感のタルトの上にコーヒー風味のガナッシュとムースを重ねた、シンプルだけれど深みのある味わい。秋口に登場する「キャラメルポワール」も人気が高い。
 「心がけているのは、トータルのバランスを考えた素材選びと、旬のフルーツや季節のものを取り入れること」。いちごは柏と取手の農家さんに直接足を運んで厳選し、農家さんとはすでに10年近い付き合いになるという。
 そんな坂本さんが作るお菓子は、確かな技術に裏打ちされた芯の強さと、家庭的な愛情の両方を感じられる。大人から子どもまで惹きつけてやまないお菓子が生む心のトキメキを、ぜひ体感しに足を運んでみてほしい。

我孫子市天王台1-1-30
Tel.04-7182-0501
営業時間 10:00 ~ 19:00
定休日 木曜日(祝祭日は営業)

オーナーシェフを務める坂本昌子さん
青い扉が目印のかわいらしい外観

荒井茂男我孫子市史研究センター

 当企画の3 回目、布佐のまち歩きを令和6 年3 月25 日(月)に実施。事前「楽習」の歴史・文化等を13名で半日探訪。印象深い2 ヶ所を報告します。
1.竹内神社
 長い松並木の参道先の急階段を登ると正面が社殿です。享保年間(1716 ~ 1735)当地に遷宮。今も篤く信仰され9月中旬の祭礼は見事、美事!香取武さん(上町)、鈴木治男さんのご説明に感謝いたします。
①合祀の神々―御嶽、三峯、稲荷、天神宮などが明治政府の強引な命令で、各地から移転した。命令は人の心を踏みにじる蛮行。
②ナゾの英文碑―明治38年(1905)旅順陥落の戦勝記念で桜樹500本寄付の石碑。寄付者7 名、榎本次郎右衛門(豪商、代議士)、松岡鼎(医師、國男の長兄)、松岡静雄(海軍大佐、國男の兄)、柳田國男(民俗学者)、井上二郎(相島新田名主、国男の友人)、一色正輔(元町長)。この時の桜が今も境内に現存しています。
 この石碑に岡田武松の名が無いのはナゼか? 布佐出身で三傑(井上・柳田・岡田)なのに不思議です。平和主義者、公務員だから、心情的にあわない等臆測できるが真相は不明です。
2.網代場観音堂と鮮魚街道
 銚子の魚を早く江戸へ届けるため、利根川布佐河岸から松戸河岸まで馬で運んだその道が鮮魚街道です。
 夕方銚子⇒翌朝布佐⇒昼松戸⇒船で江戸川・荒川・小名木川⇒夕方日本橋
 観音堂は元禄年間(1688 ~ 1703)に魚問屋と馬主が馬たちの慰霊・道中安全のために馬頭観音を安置した。頭に馬の顔をのせた観音様です。
 特別に影山孝さん(3 丁目)がお堂を開け、拝観と解説をいただいた。感激でした。鮮魚街道起点の観音堂は13 年前の東日本大震災で被災、今年末に取り壊すという。誠に残念です。
 1687 年、松尾芭蕉は、綱代場の漁家で小休止し、船で鹿島神宮へ旅立った。(『鹿島紀行』)
 次に復興会館を見学、大震災の実態を学んだ。さらに土手に登り、悠然と流れる利根川・栄橋・徳満寺(柳田民俗学のきっかけの絵馬は有名)の眺望と菜の花の香りに心癒されました。


 新しいまつりのテーマは「市民性を育む」です。「市民性」とは、自分の住むまちの歴史、文化、課題に目を向け、「自分にできることは何か」と自分事として考えることです。
 この「自分がこの地域をつくる当事者の一人である」という意識を持つための仕掛けを、実行委員のメンバーと模索してきました。キーワードは「あそび」です。楽しさから関わるきっかけ(遊び)を作ること、そして自分自身が関われる余白(あそび)があることを「市民性を育む」上で意識したいと思っています。「 誰かがやってくれる」と待つのではなく、「自分にできることは何か」と考え、その過程で生まれる対話や工夫が、人をつなぎ、まちも、人生も豊かにすると実感しています。共にまちを創る仲間に出会えることは、何にも代えがたい価値になります。「自分にも何かできることはないか」と思ったときには、ぜひステーションに相談にいらしてください。(野際里枝)
施設利用のご案内 我孫子で活動を「みつける」「はじめる」お手伝いをしています。
■開設時間 9:00-21:00
      17時以降は予約のみ開館。17時以降のご予約は2日前までにお願いします。
■休館日  毎月第2・4月曜日 祝日は開館270-1151 我孫子市本町3-1-2 けやきプラザ10階
Tel・Fax 04-7165-4370
https://www.td-f.co.jp/abikosks/
abikosks@themis.ocn.ne.jp
 
まち活マガジン あびこ市民活動ステーション情報紙No.32
発行日:2024年9月1日/発行元:あびこ市民活動ステーション[指定管理者:(株)株式会社東京ドームファシリティーズ]
デザイン・レイアウト/人を通して障害を識るフリーペーパー「gente」編集長 大澤元貴

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あびこまち活フェス

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