まち活マガジン2023年9月号(No.28)

古民家という空間で、木のおもちゃに親しみ、 庭の草花に触れ、
畑で取れたての野菜を味わう。木育・食育・花育を柱に、
子も親も共に遊べる場では、人の垣根が取り除かれ、地域に笑顔の花が咲く。

写真提供:おもちゃの広場「花」

Contents.

まち活団体紹介
おもちゃの広場「花」

あびこのおいしいみーつけた!
ブンカ・ドー

白樺派のまちの見える化に向けて
第2話 城崎にて、塩原にて、そして…

つなぐ人~コーディネーターより


広場で使っているおもちゃ

 おもちゃの広場「花」は、性別、年齢、国籍に関係ないおもちゃである「グッド・トイ」で遊べる場として乳幼児の親子に人気が高い。代表の富沢さんから、活動内容や、広場への思いをうかがった。

Q:おもちゃの広場「花」の活動についてお聞きします。

 根戸の古民家で、毎月2回行っています。木のおもちゃで遊ぶことに加え、月ごとに季節感や日本文化を取り入れています。4月は庭にあるしだれ桜の下でお花見、5 月は鯉のぼり、7 月はすいか割り、秋はさつまいもを掘って焼き芋にしたり、里芋のなり方を観察して芋煮をしました。家が日本間で季節のしつらえがしやすいので、段飾りのお雛様や兜を飾ったり、今のママ達が経験したことがないようなことを、生活とは違う空間でやっています。子ども達から「とみちゃんち」と言われ、親しまれています。
 古民家での活動の他、「市民のチカラまつり」や「親子の日」のようなイベントにも出張して「グッド・トイ」(後述)で遊べる機会を作っています。

Q:どんな人が遊びに来ますか。

 1回5組を受け入れていますが、募集するとすぐに埋まります。0歳から年少くらいの未就学児とその親御さんを対象にしていますが、きょうだいは小学生でも可としています。
 障害を持つ子や、人との関わりがむずかしい子、その親御さんにも来てほしいと思っています。

Q:おもちゃへの思いを教えてください。

 おもちゃの広場「花」では、主に東京おもちゃ美術館の「グッド・トイ」を使っています。遊びを通して五感を磨くおもちゃとして、毎年、おもちゃコンサルタントの推薦・投票によって選ばれるものです。
 それから、「おもちゃのかきくけこ」を大切にしています「か」は、わーっという「感動」、「き」は、なんでと思う「興味」、「く」は、もっと「工夫」してみようという気持ち、「け」は、もりもり「元気」になること、「こ」は、いっしょに「交流」しようということです。一緒に遊んでいてすごいなと思うのは、子どもの発想が多彩なことです。遊ぶことを通して、「かきくけこ」の気持ちを育んでいきたいと思います。

Cafeネストの様子  写真提供:おもちゃの広場「花」

Q:活動を始めたきっかけは。

 50代で保育園の管理職になり、子育ても一段落し、これからどうしよう、定年後に打ち込めるもの探さなければと5年くらいもんもんとしていました。
 そんな時に、子どもが小さい頃に連れて行った東京おもちゃ美術館が、中野から四谷に移転していることを知りました。早速行ってみると、廃校になった小学校をリノベーションして、すてきな場所になっていました。赤いエプロン姿のボランティア・スタッフ、おもちゃ学芸員が昔なつかしいお手玉、ベーゴマなどのレクチャーをしてくれました。年齢も職業も様々な人達がボランティアとして関わっていて、魅力的に思いました。これだ!と思い、おもちゃコンサルタントとおもちゃ学芸員の資格を取りました。
 おもちゃの広場の活動は、資格を取ってすぐに2017年から始めました。最初は守谷市、葛飾区、鎌ヶ谷市でやっていましたが、生まれ育った地域に恩返ししたいと思い、2022 年4 月から我孫子に拠点を移しました。
 我孫子で活動を始める前には、市民活動ステーションにも相談に行き、コーディネーターの勧めで「移動子育て交流スペースcafeネスト」で保育を担当するようにもなりました。そのおかげで、我孫子のママ達とつながることができました。

Q:どうやっておもちゃコンサルタントになるのですか?

 東京おもちゃ美術館が実施する養成講座を受講します。最近は、e- ラーニングでもやれるようになりました。1回10 時から17時まで、4回のコースになっています。最後は試験ではなくて、自分の好きなおもちゃについて調べてプレゼンをします。
 おもちゃコンサルタントになると、おもちゃの広場が開けます。また、「グッド・トイ」を借りることができます。

Q:団体名もすてきですね。

 東京おもちゃ美術館の事業名が、「おもちゃの広場」といいます。これをやっていることを示したかったので、そのまま使いました。それから、ぱっと思いついたのが「花」。この活動の目的として、木育、食育、花育、の3 つを進めたいと考えていますが、実家が花に関係した仕事をしていたことや、「花が笑顔にしてくれる」という知り合いのお医者さんの言葉もあって団体名に入れました。

畑ですいかの収穫

Q:今後の活動の展望を教えてください。

 東京おもちゃ美術館のスタッフに、「おもちゃコンサルタントいうのがありますよ」と声をかけられなかったら、今の活動はなかったかもしれません。それを機に、楽しく、充実した毎日を送っています。
 コロナ禍の中でオンライン会議ができるようになり、全国のおもちゃコンサルタントとつながるようになりました。福岡や沖縄の方と毎月情報交換しています。コロナで失ったものあったけれど拾ったものもあり、地域性のある情報交換を続けていきたいです。
 少し先のことになると思いますが、多世代の遊び場をやりたいと思います。親が色々な人と関わって、子ども達は成長していくもの、子どもが地域のおじいちゃんとゲームをやる場になったりするのもいいなと思います。
 運営費を増やして、木育キャラバンもやりたいと、夢は広がっていきます。

 木のおもちゃの温もりは、幼いころの楽しかった時間をほんのりと思い出させてくれる。そのよさを生かしながら、現代的な機能やセンスも加えた「グッド・トイ」は、大人にとっても魅力的である。そこに運営者の人柄が合わさり、おもちゃの広場「花」は活動を始めるや否やリピーターがつく人気の広場になった。乳幼児親子の場にとどまらず、おもちゃをきっかけに多世代が交流する地域のお茶の間になっていってほしいと思う。

富沢政美さん

定番から季節の新商品までずらり。3世代に
わたって愛される 町のパン屋さん ブンカ・ドー

1番人気のクリームぱん
「サマーサンド~チキンのレモンジンジャーソース」は今年の夏の新作

 我孫子駅南口を出て路地に入ると、ひときわ可愛らしいお店に出合う。老若男女問わず、客足が途絶えないパン屋さん「ブンカ・ドー」だ。5 年前、我孫子に引っ越した際、私は乳幼児を抱えながら新しい土地ではじまる生活に期待と不安が入り混じっていた。その時、頼れるパン屋さんが近くにあったことはとても心強かったことを覚えている。
 現社長は3代目で、初代が横浜での修業を経て我孫子に開業した。今年で創業71 年を迎える。12 年前に店舗をリニューアルし、現在のお店の雰囲気となった。店内にはあんぱんやメロンパン、根強い人気を誇るコロッケバーガーなどの定番商品をはじめ、ハード系のパンなど数十種類のパンが並ぶ。「ピークは11 時~12 時半頃。常連のお客さまは焼き上がり時間を覚えていて、その時間に来店される方も多いです」と教えてくれたのは3 代目社長の妻・雅子さん(以下コメント同)。「たくさんの種類のパンが並んでいますが、その日の分が終了したら売り切れです。1つからでも電話で予約を受け付けていますのでお気軽にどうぞ」
 1番人気だというクリームぱんは、驚くほどふわふわのパンになめらかな自家製カスタードクリームがたっぷり詰まっている。「特別なことはしていません。なるべく添加物を入れず、昔ながらの製法でていねいに作り続けています」
 常連客の中には親子3世代にわたって通っている人も多い。「子どもの頃から通ってくださる方が年賀状を送ってくださったり、我孫子から引っ越すタイミングでお手紙をくださったりする方もいます。そういうお手紙をいただくとやっぱりうれしいですね」。ここでは単なるパン屋さんとお客さんを超えた「つながり」という文化が育まれている。

3代目社長の秋山紀夫さんと妻の雅子さん
キーカラーの水色と格子窓の店構えが目を引く

白樺派のまちの見える化に向けて
第2話 城崎にて、塩原にて、そして…
吉澤淳一 我孫子の景観を育てる会

 古くから文人・墨客が住んだり訪れたりしたまちは全国に無数にあります。そのようなまちでは、その足跡をどのようにして遺しているのか、三つのまちで見聞してきたことを第2話以降に紹介してみます。
 志賀直哉は山手線の事故で大怪我をして、後養生のために城崎温泉の三木屋に逗留していました。小説『城の崎にて』を読んでこの温泉街に興味を抱き訪ねてみました。それは街の観光案内書に、訪れた文人墨客の碑を巡るコースが載っていたからでした。城崎文芸館の前にある志賀直哉文学碑をはじめとする数々の碑は、みな石造りで歴史を感じる古風なものでした。島崎藤村、司馬遼太郎(写真1)、有島武郎、与謝野鉄幹・晶子など錚々たる文人たちが当地を語ったり詠んだりした碑が24 基、老舗旅館や外湯前に建っていました。しかしこの時には、読みにくい直筆文字で彫られた石碑に足を止める老若男女の光景は見られませんでした。宿で借りた浴衣で、古き時代の風情が残る温泉街の外湯巡りを楽しむ、その圧倒的な魅力の前では文学碑が脇役に甘んじるのもやむを得ないのでしょうね。
 文学散歩でも知られる関東屈指の名湯塩原温泉にも行ってみました。ここでは文学碑が集中している地区を歩いてみました。大きなホテル・小さな旅館・飲食店などが入り混じっている通りを、「ようこそ文学散歩」という ガイドブックを片手に、精力的に巡りました。尾崎紅葉、室生犀星、夏目漱石(写真2)、国木田独歩など枚挙にいとまがありません。その数は40 近くになりました。ここでは伝統的な石碑に並べて説明プレートやクイズなどが添えられていて、その仕組みに興味を持ちました。第3話ではその一例を紹介します。


 あびこ市民活動ステーションで月2回開催の相談事業「あなたの“始めたい”を聴く場Seeds place」から、今年4月に生まれた湖北駅南口にある「みんなの居場所ビスケット(微助っ人)」。店舗隣を「ソーイングカフェにしたい」という洋服お直し店のオーナーと、「コミュニティカフェをつくりたい」という相談者を繋げました。私は湖北をみんなで楽しみ隊として関わりながら、多様な世代や価値観の人に出会う楽しさと難しさを感じています。
 6月に湖北地区公民館で開催された「げんきフェスタ」では、湖北をみんなで楽しみ隊、cafe スコラ、あびダンディズムプロジェクト、おもちゃの広場「花」がコラボしました。家事・育児・仕事に忙しい子育て世代が市民活動をするコツは、「つながりが緩やかで、何より自分が楽しいかどうか」かなと、思いました。(片岡 綾)
施設利用のご案内 我孫子で活動を「みつける」「はじめる」お手伝いをしています。
■開設時間 9:00-21:00
      17時以降は予約のみ開館。17時以降のご予約は2日前までにお願いします。
■休館日  毎月第2・4月曜日 祝日は開館270-1151 我孫子市本町3-1-2 けやきプラザ10階
Tel・Fax 04-7165-4370
https://www.td-f.co.jp/abikosks/
abikosks@themis.ocn.ne.jp
 
まち活マガジン あびこ市民活動ステーション情報紙No.28
発行日:2023年9月1日/発行元:あびこ市民活動ステーション[指定管理者:(株)株式会社東京ドームファシリティーズ]
デザイン・レイアウト/人を通して障害を識るフリーペーパー「gente」編集長 大澤元貴

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