まち活マガジン2022年11月号(No.24)
- 2022/10/31
- まち活マガジン
子と親の、ありのままを受け入れる
「ハンディのある子もない子も、共に育ちあう場をつくりたい」との思いで
36年間活動を続ける我孫子おもちゃ図書館「かっぱの家」。
ボランティアメンバーに共通していたのは、子、親に注がれる温かな眼差しと、
ありのままを受け入れる姿勢だった。
Contents.
まち活団体紹介
我孫子おもちゃ図書館「かっぱの家」
あびこのおいしいみーつけた!
カフェレストラン こころ音
我孫子 白樺派のカレー物語
第3話 我孫子のまちにお目見え
つなぐ人~コーディネーターより~ 高橋由紀
大好評の市民のチカラまつり、11月に布佐に出張します
今年で設立36年となる我孫子おもちゃ図書館「かっぱの家」は、全国と県に連絡会を持つボランティア団体だ。主に、障がいを持つ未就学児を対象に、おもちゃを通じて子どもの発達が促さ
れ、友だちができたり、親にとっても交流の場になればという願いを込めて、活動を行っている。元々は、我孫子おもちゃの病院と同じグループだったことから、連携しておもちゃの修理にもつなげている。現在メンバーは10人。代表の池上和子さんを中心に、開設班メンバーの株木紀子さん、小林和江さん、手作り班の丸本秋江さんにお話を伺った。(文中敬称略)
Q:現在の活動について教えてください。
池上:我孫子おもちゃ図書館「かっぱの家」は、「ハンディのある子もない子も、共に育ちあう場をつくりたい」とボランティアでの活動を続けています。コロナ禍前は月に2回おもちゃを用意して遊んでもらう開設班と、ハンドメイドのおもちゃを作る手作り班の活動を行いながら、福祉まつりや子育てフェスタにも参加しました。コロナ禍の現在は、開設班はお休みし、手作り班は月2 回午前中のみ、新木のこども発達センターで活動を続けています。ボランティアの高齢化はありますが、会員同士の交流や活動が生きがいになっている方がいっぱいいます。一人ひとりの力はすごくて、手作り班ではこども発達センターの先生からの要望で知育的なおもちゃも作っています。今日参加できなかった七戸敏さんは、「自分は嫁さん(弘子さん)の代理だから」と謙虚な人柄で、ギター演奏からデジタル関係(おもちゃの管理台帳やQRコード作成)までお任せできる頼もしい仲間です。
個人的には、“支える人” を「支える」活動もしていきたいと思います。“支える人”というのは、子どもたち、家族を支える全ての人を指します。そして同時にたくさんの人たちに支えてもらって今があります。最近では、こども発達センターの先生方を通じて、親御さんから修理が必要なおもちゃを受け取り、我孫子おもちゃの病院の“ドクター” につなぐ活動もしています。
Q:入会した動機や親御さんやお子さんにとって、どんな場づくりを心掛けているか、教えてください。
丸本:ボランティアは特に資格を有するわけではないので、子どもを指導するわけでなく、その子が楽しく、ケガしないようにと思っています。これはこうやって遊ぶのよと教えるよりも、子どもからこんなやり方もあるんだと教わることも多いです。子どもってこだわりある子が結構いますからね。
株木:私の場合は、自分の息子にハンディがあり最初は利用者だったんですね。丸本さんが言ったように、先生でも親族でもない方が、何の先入観もなく息子や私を丸ごと受け入れてくれるのが本当にありがたかった。バーッと走って机の上に乗った我が子に対して、「あらーすごい!」と前代表の福嶋禎子さんが一点の曇りもなく、笑顔で迎えてくれたのがすごく嬉しかったんです。息子の療育や自分の仕事や病気でお休みして、3年ぶりに戻っても、皆さんは何も聞かず、当たり前のように受け入れてくれる。ちょっぴり恩返しもあるけれど、自分が楽しくて来ています。
小林:約10年前、障がい児教育をしていて辞めた後も子どもに関わりたいと思い、参加しました。未就学児の保護者の方や先生たちと遊びの場を作る中で、子どもたちのおもちゃを通しての関わり方は千差万別なので、一人ひとりの手助けをできたらいいなと思っています。
池上:私は、支援学校を退職して16 年前に入会したのですが、仕事と無償のボランティアは、私にとっては同じだったんですね。子どもたちと遊んだり、好きなおもちゃに触れたり、仲間作りやコミュニケーションを図るという意味でも同じ。真剣に活動に向かうことも同じ。子どもたちをパッと受け止めて、楽しいねって感じればいいんだと、学んでいるところです。
Q:長い活動の中で感じていることとは?
池上:代表になって6 年経つのですがba1e1e、意見の違いもこの活動には大事です。一生懸命な思いがあるからぶつかるんです。いつも「何でもOK !」というノリではなくて、それぞれの考えを出し合
える場でもありたいと思います。
丸本:それで成長するんですよね。意見の言い合いってその人に反発しているわけではなくて、こういうのはどうかしらとか、共通点を見出すことが大事。そんなことを経て、信頼できる仲間ができたなと思います。
Q:最後に、コロナ禍でのお子さんや親御さんにメッセージをお願いします。
池上:まず、子どもを産んで育てて、生きにくい世の中を頑張っているお母さん、お父さんを、ほめてあげたい。我孫子には、皆さんを支えるおじちゃん、おばちゃんがいっぱいいます。現在は、開設班はお休みしていますが、おもちゃの貸し出し(2 週間)はしていて、延長もできますよ。壊れても我孫子おもちゃの病院のドクターがいるので、大丈夫です。ボランティア自体が高齢化し、新旧交代がうまくいかないなどの課題はありますが、私たちも活動を頑張っていきたいと思います。
「支える人を支えたい」「意見の違いが大事」「子どもを丸ごと受け入れる」など印象的な言葉をたくさん伺いました。先入観なく、無条件に子どもと親を受け止めてくれる皆さんの姿勢は、まさに今の子育て世代が必要とする場と感じました。おしゃべりし、笑い合いながら楽しそうに手を動かす手作り班の様子も心に残りました。現役の子育て世代と繋げたら……と思います。
布佐に癒しと活力をもたらす憩いの店 |
2011 年3月に起きた東日本大震災で、我孫子市内でも特に布佐地区は大きな被害を負った。そんな中、2012 年にオープンした「カフェレストラン こころ音」の存在に、布佐の人たちがどれだけ心を慰められたか分からない。
店主の松田弘さんは56歳の時、長年の夢だった喫茶店をオープンしたいと考えた。出店場所を探す中で、国道356号線から近く、駐車もしやすい場所として、この土地に決め、友人に建物の建築を依頼した。妻と息子2人と共に、渋谷のカフェスクールに通い、カレー、ミートパスタ、ナポリタン、プルコギ、サンドイッチのメニューから始めて、10年の歳月が流れた。その間、接客とお菓子作りを担当していた次男の弘樹さんを亡くし、三男の大樹さんは近隣に「らーめん元気」を開店し、現在は夫婦二人で居心地の良い店を続けている。
料理はもちろんのこと、ドレッシングからケーキまで手作りする。看板メニューの生麺のパスタは、厨房設備の都合で、乾麺はゆで時間がかかり、お客さまを待たせてしまう、という理由で始めたが、常連客から「都内でいろいろ食べてきたけれど、これで十分よ」と太鼓判を押されたそうだ。ランチセットの大豆や鶏ひき肉入りのしょうがのスープは、松田さんが大好きな作家、宮本輝の小説に出てくるスープを再現した。飲むとホッとして活力が湧く。
「店をやって良かったのは、様々な方と交流ができることかな」と弘さん。「自分の家にいるみたいってゆっくりされる方も多いです」と妻の十三子さん。自然体でいられる雰囲気と、手作りのおいしさがこの店にはある。
食べるライター 片岡 綾 おいしいものを探して自転車で街を駆け巡る日々の中、我孫子の食の豊かさに開眼。「食べるために生きる」がモットーの40代一児の母。 |
白樺派文人達の足跡を新たな角度から考えようと
柳宗悦夫人、兼子さんのカレーが再現されました。
誕生のエピソードや普及の過程について、
知ればさらに味わい深くなるお話を4 回シリーズで紹介します。
第3話 我孫子のまちにお目見え
「白樺派のカレー」を市民の皆さんに初めてお披露目したのは15年前、2007(平成19)年3月のことでした。舞台は奇しくも市民のチカラまつりの前身である市民活動フェアinあびこで、会期2日間で200食の大試食会を催しました。ふれあい弁当の会(坂巻道代代表)のメンバーが、石戸さんの指導の下で調理してくれました。ふれあい弁当の会は、高齢者に手作り弁当をお届けする活動をしていることから調理のクオリティは高く、大正ロマンの香り高い美味しい白樺派のカレーが出来上がりました。福嶋前市長と星野市長がご一緒に舌鼓を打っていたシーンが印象的でした。
こうして誕生した白樺派のカレーは、早くもその年にはいくつかのレストランのメニューに登場し始めました。今では、布佐のCafe 茶豆(スーパーナリタヤの隣り)、喫茶ぷらっと(アビスタ内)、森の中のオープンカフェ(シティアマンション群の一角)がメニューに載せています。食材は地元産を中心に国産、カレーパウダーは当時日本で使われていたC&B純カレー、そして隠し味に味噌という約束事をベースに、各店の工夫を凝らしたカレーがご好評をいただいています。
お店で白樺派のカレーを注文すると、特製のランチョンマットを差し上げています。Vol. 1は白樺派の散歩道のガイドマップ、Vol. 2は当時の我孫子町を写真で楽しめる趣向になっていて、大変喜ばれています。
市民活動の祭典が、市民活動フェアから市民のチカラまつりとして受け継がれ、それを主催する市民活動ステーション発行の本誌で白樺派のカレーを紹介できるという、15年の歴史と絆のようなものを感じます。
9月24日~ 25日、1年で最も大きな催し「市民のチカラまつり」のメイン部分が終わりました。段ボールでまちづくり、ウクライナチャリティー・コンサートが好評で、「子どもと目一杯楽しみました」とか、「カテリーナさんの歌声に感動した」という声が届きました。11月5日は布佐に出張しまちを盛り上げますので、ぜひお越しください。(高橋由紀) |
施設利用のご案内 我孫子で活動を「みつける」「はじめる」お手伝いをしています。 ■開設時間 9:00-21:00 17時以降は予約のみ開館。17時以降のご予約は2日前までにお願いします。 ■休館日 毎月第2・4月曜日 祝日は開館270-1151 我孫子市本町3-1-2 けやきプラザ10階 Tel・Fax 04-7165-4370 https://www.td-f.co.jp/abikosks/ abikosks@themis.ocn.ne.jp |
まち活マガジン あびこ市民活動ステーション情報紙No.24 発行日:2022年11月1日/発行元:あびこ市民活動ステーション[指定管理者:(株)株式会社東京ドームファシリティーズ] デザイン・レイアウト/人を通して障害を識るフリーペーパー「gente」編集長 大澤元貴 |