まち活マガジン2023年7月号(No.27)
- 2023/5/28
- まち活マガジン
見て、触れて、五感で感じる我孫子の歴史
自分たちの住むまちを歩き、歴史を知る。初めて訪れる場所で、新しい
発見に驚き、また誰かに伝えたくなる。今まで何気なく通り過ぎていた場所が
物語を持って輝きだす。それらを大切に守っていかなければと思う。
歴史を知ることは、これからを考えることでもある。
Contents.
まち活団体紹介
あびこガイドクラブ
あびこのおいしいみーつけた!
Cafe オリーブ
白樺派のまちの見える化に向けて
第1話 白樺派と文人の郷
「我孫子のまち歩きを通して、歴史を知り、我孫子を好きになってもらいたい」そんな思いで「あびこガイドクラブ」は1995(平成7 年)に設立され、28年間活動を続けてきた。ガイドツアーの魅力など、新井利雄さん(会長)、宮本研三さん(元会長)にお話しを聞いた。(文中敬称略)
Q:「あびこガイドクラブ」ができた経緯について教えてください。
新井:社会福祉協議会から、我孫子を案内してくれる団体を作ってほしいと依頼があったことがきっかけです。市内外の人に我孫子の歴史や自然、文化などの魅力を知ってもらい、我孫子を好きになってもらうというのが目的でした。もともと我孫子は多くの史跡、名所があり歴史のある町です。それまで我孫子の歴史を研究する団体はありましたが、ガイドをする団体はほとんどありませんでした。関連するボランティア団体に所属する人に声をかけ、30人ほどが集まり「あびこガイドクラブ」が立ち上がりました。
宮本:最初に立ち上げたメンバーは我孫子への強い思いを持って献身的に活動してくれ、今の基礎を作ってくれました。
Q:どのような活動を行っていますか。
新井:主に我孫子市内を歩いて巡るガイドツアーを行っています。会員がガイドになり参加者を案内します。ひとつのコースは大体2時間です。市内外の団体から依頼を受けています。我孫子駅から柳宗悦邸跡、志賀直哉邸跡などを巡る人気の我孫子散策コースや沼南コースなど、現在市内外合わせ全部で約40コースほどあります。コースの内容も自分たちで考えます。また、会員に向けて講演会、研修ツアー、バス研修などを定期的に行っています。役員会で話し合いながら行事やコースの年間計画を立て、今年は11回実施の予定です。その他にも、市から依頼を受け観光パンフレットなどへの作成協力をしています。
宮本:ガイドツアーで配布するガイド資料の作成もしています。コースに合わせて歴史や資料を調べ、情報を収集し、随時見直しをしています。パソコンの普及していない時代に、歴代の会員が写真やイラストを手作業で切り張りし、苦労して作った資料をデジタル化し会の貴重な財産となっています。
Q:ガイドツアーを行う上で大変なことはありますか。
新井:ガイドツアーの日程が決まったら、事前にコースの下見、資料の確認などはもちろん、季節によって話す内容も変えます。ツアー中、参加者から「この花の名前は何か」などと資料にないことを聞かれることもあるので、歴史だけでなく幅広い知識が必要です。会員もそれぞれ得意分野がありお互い切磋琢磨しながら、日々勉強しています。また、途中、参加者の体調不良への対応など、ツアーが安全に実施できるよう気配りも欠かせません。
ガイドは、会員の中から育てています。最初はベテランのガイドを見ながら勉強し、その後、ガイドとしてひとり立ちします。この人はガイドに向いているなと思ったら声をかけますが、なかなか成り手がいないのが現状です。
宮本:ガイドは基本一人で行います。専門性を求められますし、話す内容など自分で考えなければならないので大変です。ガイドにむいているのは歴史に興味がある、歩く事が好きというのはもちろんのこと、参加者とコミュニケーションが取れる人ですね。
Q:活動を続けていて良かったと思う事はなんですか。
新井:私があびこガイドクラブに入ったのは、今から約10年前です。退職し、地域とのつながりが必要と感じたのがきっかけでした。参加した人たちに、楽しかったと喜んでもらえる事が一番うれしいですね。我孫子に住んでいても意外と我孫子の事を知らない人が多く、初めて知ったと喜んでくれます。市外の人からは「我孫子っていいところですね」とほめられることも多いです。また、以前参加して良かったからと、再度参加してくれるリピーターの方もいます。ガイドはおもしろいですよ。はじめは緊張しますが、説明だけでなく、参加者とのいろいろなやりとりがあるのが楽しいです。
宮本:私は我孫子を知りたくて会に入りました。元々九州の出身ですが、我孫子に住んで長く、我孫子をいやだと思うことは一度もありませんでした。会員には知識や行動力のある人が多く、自分自身も刺激を受け勉強し成長できたと思います。四代目の会長の時、多くの方に協力をいただき、20 周年記念誌を発行することができたこともうれしい思い出のひとつです。それと歩く事で健康を維持できるのもいいですね。今でも万歩計を持って歩く距離を決め、手賀沼周辺や近所を歩いています。
Q:今後の「あびこガイドクラブ」のめざす方向を教えてください。
新井:現在会員数は34名で、以前から比べると減少しています。うち、ガイドとして積極的に手を上げてくれるのは10名くらいです。本当はホームページなどで広く情報を発信したいのですが、そうなると現在の体制では対応が難しく悩ましいところです。そういう意味でも、やはり新しいガイドの育成が重要だと考えています。
宮本:歴史や文化に興味を持ってくれるよう、工夫が必要です。プラスαの楽しみを盛り込むなど時代に合わせたコースの作成も必要だと思います。会の継続は大変ですが、豊富な知識や資料、経験が蓄積されているので、それらを今の時代にあわせてうまく活用していければと思います。
Q:我孫子の歴史やガイドツアーに興味があるという方にメッセージをお願いします。
新井:手賀沼と利根川に囲まれた、水と緑の豊かな我孫子の地には、古代からの数多くの史跡が残されています。気の置けない仲間と一緒に散策し、この中に宝物を発見して回ることは、仲間づくり、健康づくり、生きがいづくりに役立ち、人生が一層充実したものとなるでしょう。一緒に宝物を探してみませんか。
インタビューの後、ガイドツアーに参加させてもらった。時間をかけて説明を聞き、歴史を感じ、我孫子をより身近に感じると同時に、自分たちの住んでいるまちに「誇り」をもつことができたような気がする。普段歩くことが少なく、体力に若干の不安があったが、ガイドの知識豊かで軽快なトークに聞き入り、あっという間に時間が過ぎていた。我孫子の歴史を語り継ぐ「あびこガイドクラブ」の活動を、これからも多くの人に知ってほしいと思う。
(取材・文/まち活ライター 外園若菜)
湖北駅南口で一周年!おしゃれなカフェと
宅配弁当の店 Cafeオリーブ
JR成田線湖北駅南口には、我孫子市保健センターがある。健診の帰りなどにゆっくり過ごせるカフェが駅前にあったらいいなあと考えていたら、2022 年3月14日に、一軒家の「Cafeオリーブ」がオープンした。運営は、特定非営利活動法人自立支援ネット我孫子で、生きづらさを抱える人の就労を継続的に支援する施設だ。以前は、少し離れた場所で「イエローハート」として宅配弁当の事業を行っていた。お客さまから「お弁当を食べられる場所があったらいい」と言われたことをきっかけに、駅前への出店を決めた。
店内は明るい雰囲気で入りやすく、日替わり弁当が500円~ということもあり、つい足が向いてしまう。メニューは手作りで、栄養士が献立を考える。調理担当者は朝6 時半から調理を開始し、市内各所に弁当を1 個から届ける。
理事長の影山真理子さんが大切にしているのは、働いている方と対話すること。初めは表情が乏しかった人が、話すうちに、働くうちに表情豊かになるケースを幾度となく見てきた。「おしゃれなカフェで働くことでモチベーションが上がっている方が多いようです。みんなが生き生きと働く姿を見て、エネルギーは創れるものなのだと感じました」と影山さん。
最近は向かいにできたラーメン店利用の後にコーヒーブレイクを楽しむビジネスマンなど、新たな客層も増えてきた。影山さんは「今後はいろいろなイベントに出て、皆さんに障がい者就労への理解を深めてほしい」と話す。湖北駅南口エリアがどんな風に盛り上がっていくのか、利用しながら見守りたい。
白樺派のまちの見える化に向けて
第1話(序)白樺派と文人の郷
吉澤淳一 我孫子の景観を育てる会
我孫子市が、このまちを「白樺派の文人たちのまち」と唱えて久しいものがあります。2020年には、「白樺派と文人の郷」という名称で、千葉県が「ちば文化資産」に認定しています。その目的は、次世代に残したい千葉県の文化的魅力を再認識するためとされています。
「白樺派と文人の郷」の概要は、教育委員会によると「大正から昭和にかけて、手賀沼沿いには白樺派を中心とした文人の別荘や邸宅が建ち並びました。杉村楚人冠記念館などの文化財建造物と、志賀直哉などの文人を紹介する白樺文学館を「我孫子の大正・昭和文化遺産」として連携させ、我孫子の魅力を多くの人々に伝えています」としています。
我孫子駅から白樺文学館と近接する志賀直哉邸跡、或いは杉村楚人冠記念館、旧村川別荘、武者小路実篤邸跡、嘉納治五郎別荘跡、三樹荘などへと辿る道すがらは普通の住宅地で、残念ながらビジターがまちで白樺派の面影に接することはありません。まちなかでは唯一駅前の文人たちの集合写真に往時を偲ぶのみです。だからと言って、手をこまねいていたのでは前に進めないので、「白樺派と文人の郷」に相応しい、まち歩きのための演出ができないものか、微力ながら模索しているところです。
本シリーズは、「我孫子の文化四十年の歩み」(我孫子の文化を守る会)ならびに「景観あびこ109 ~112号」(我孫子の景観を育てる会)に掲載した内容に手を加えて再構成したものです。
施設利用のご案内 我孫子で活動を「みつける」「はじめる」お手伝いをしています。 ■開設時間 9:00-21:00 17時以降は予約のみ開館。17時以降のご予約は2日前までにお願いします。 ■休館日 毎月第2・4月曜日 祝日は開館270-1151 我孫子市本町3-1-2 けやきプラザ10階 Tel・Fax 04-7165-4370 https://www.td-f.co.jp/abikosks/ abikosks@themis.ocn.ne.jp |
まち活マガジン あびこ市民活動ステーション情報紙No.27 発行日:2023年6月1日/発行元:あびこ市民活動ステーション[指定管理者:(株)株式会社東京ドームファシリティーズ] デザイン・レイアウト/人を通して障害を識るフリーペーパー「gente」編集長 大澤元貴 |