まち活マガジン2022年1月号(No.21)

子ども主体のコミュニティプレイス「ごちゃにわ」
手賀沼流域をフィールドに、大人も子どもも一緒になって遊ぶコミュニティ
「手賀沼まんだら」。我孫子市内に子育て世代が地域と共創・協働する
コミュニティプレイス「ごちゃにわ」で、自由で楽しい挑戦を繰り広げている。

Contents.
まち活団体紹介
手賀沼まんだら
あびこのおいしいみーつけた!
sweets nico
越岡禮子と行く、我孫子の小さな旅
新木の成田街道沿いを歩く
つなぐ人~コーディネーターより 野際里枝
新たな繋がりができつつある男女共同参画連続講座

 「野へ出よう。人に会おう。」をコンセプトに活動するコミュニティ「手賀沼まんだら」が、新型コロナウイルス対応緊急支援助成休眠預金事業の補助金を得て創った、外遊びを通じて地域をつなぐプロジェクト「ごちゃにわ」。我孫子市内の遊休農地を借りて、自分たちで張り直したビニールハウスと開墾した竹やぶの空間で、大人と子どもが様々なことに挑戦しながら、自分らしく一緒に過ごす。これまでに畑で芋を栽培したり、手賀沼のザリガニを食べたり、ビオトープを作ったり、夕涼み会を行ったりした。2019年に始まった手賀沼まんだらのコアメンバーは、幼稚園、保育園、小学校、市民団体を縁につながった社会福祉、生物、経理、デザイン、ウェブサービスを生業にする母親5人。竹林が風にそよぐ音に包まれながら、代表の澤田直子さん、渡辺玲衣さん、柏田あさみさん、藤倉たまきさん、澤田かほりさんにお話を伺った(文中敬称略)。

Q:手賀沼まんだらの成り立ちと、「ごちゃにわ」について教えてください。

澤田(直):3年前までフルタイムで働いていた私にとって、我孫子は寝に帰るだけの場所で、週末は市外の海や山に遊びに行く生活を送っていました。子どもが保育園に通っていた時は、地域から浮いていても成立すると思っていましたが、子どもが小学校に入った時に、否応なしに自分が住む地域を意識することになりました。遠くに向けていた目を近くに向けると、手賀沼がありました。手賀沼を人間、生物、自然の命がつながるエリアとしてとらえ、まんだらという言葉に、一面から見て良い、悪いを判断せず、ありのままに「在る」ことを肯定したいという思いを込めて「手賀沼まんだら」というコミュニティが生まれました。
 ほしいサービス、場所は自分たちのオリジナリティとクリエイティビティで創り出すのが一番フィットすると思い、2020 年11月に柏市の手賀沼フィッシングセンターで「てがぬまこどもマルシェ」を企画、運営。その後、新型コロナウイルスの影響で、各世代の孤立が際立つようになりました。特に子育て世代からは、リモートワークで子どもを見ながら仕事をしなくてはならないとか、公園で遊んでいると子どもの声がうるさいと近隣からクレームが来るといったネガティブな声が出た反面、これまで以上に子どもと過ごす時間が増えて楽しかった、豊かな時間だったというポジティブな声も上がりました。そこで考えたのが、親の気配を感じながら子どもが伸び伸びと遊べる場所「ごちゃにわ」です。
渡辺:直子さんは社会福祉、私は以前は生物関係、今は子どもの発達支援の仕事をしているので、手賀沼まんだらを始めたときも、お母さん一人とか家族だけでやっていることをどうしたら支え合えるか、という話はよくしていました。子育て支援センターの広場などでは、子育ての方針が違ったらつるめない。どうしたらみんなで自然に子どもを連れて集まって、遊ばせながら過ごせるか。すでに直子さんが3、4家族で遊ぶというのをやっていたので入れてもらって、これは素晴らしいと感じたのが、手賀沼口コミでも増えています。まずは遊びに来てもらって、気に入ったら会員登録してもらっています。火・水・木曜日の放課後に開放していて、夏は18時半頃、冬は17時頃まで、私たちが交替で日直をしています。現在20名くらいが遊びに来ています。子どもたちは自分たちで作った場所をすごく大事にして、新しく来た子にルールを教えています。

澤田(直):「ごちゃにわ」は、日常に自然の中での遊びを落とし込みたかったので、平日にこだわりました。ここでは何かしてもいいし、ぼーっとしていてもいい。みんな自分のやることに夢中になっているから、誰からも強制されないし、大人も名前で呼ばれちゃう。子どもたちにとっての原風景がこうであったらいいなあという空間です。

秋は芋掘り 手賀沼フィッシングセンターのビオトープで生き物探し 写真提供:手賀沼まんだら

Q:皆さんにとって手賀沼まんだらはどんなコミュニティですか?

藤倉:子どもが産まれるまでは仕事ばかりやっていて、地域と全くつながっていなかったけれど、手賀沼まんだらはフィジカルに、おのずと地域とつないでくれます。大人が真剣にやっていると子どもたちが興味を持って、何やってんのー?って一緒に作りたがります。身体がここにいる感覚があるし、五まんだらのスタートです。
柏田:「ごちゃにわ」という名前は、みんなで丸くなって話している時に決まりました。コワーキングの「かちゃ」、お茶のみの「おちゃ」、ビオトープの「ぱちゃ」、託児の「こちゃ」、遊び場の「わちゃ」の5つの要素を入れたいね、と。「ごちゃにわ」のユーザーはインターネット経由だけでなく、感が刺激される。子育てって地に足が着いていないとできませんよね。自然の中で活動する意味はそこにあると思います。

澤田(か):子どもとどうやって遊んだらいいか分からない、という子育てのスタートから手賀沼まんだらと出会い、子どもと自然の中で関わることで自分も成長している感覚があります。竹細工の際、ナイフの使い方を子どもから学びました。こういう場では子どもが先生になれちゃうんです。
澤田(直):私たちが大切にしているのは、人のためにではなく、自分たちのためにということです。子育て真っ最中だからこそ、地域に対して気づくことがいっぱいあります。また、コミュニティは仕事でもあり、家庭でもあると思っています。この活動が仕事に生かされたり、仕事のひらめきを手賀沼まんだらで試したりできるからです。

Q:これからの方向性について教えてください。

澤田(直):例えば5年後に私たちが何を感じているか、今は想像がつきません。子どもたちの育ち合いや響き合いが大事だと思っていればやっているだろうし、社会にこういうサービスがあったらいいなあというのをやっているかもしれない。目的よりも楽しくニコニコしながら、「Play and Feel!」、感情が動くことをやっていきたいです。
渡辺:自然は流動的じゃないですか、なくなったと思ったらまた始まって。人間も目標を決めずに流動的に動いてもいいと思っています。私たちの活動もそんなスタンスでやっていきます。SNSで活動を発信しているので、Facebook やInstagram を見て、素敵だなって思った人は連絡をください。

 5人各々が個性、仕事で培ってきたスキルを活かしつつ、互いを尊重しながら楽しんでいる姿が印象的でした。子育てと地域は切り離せない関係です。ほしいものは自分たちで創る、子育て世代にはそれができる原動力がある、と勇気をもらいました。

左から藤倉たまきさん、柏田あさみさん、澤田かほりさん、澤田直子さん、渡辺玲衣さん

HP : https://teganumamandara.mystrikingly.com/
E-Mail: teganumamandara@yahoo.co.jp
手賀沼まんだら・「ごちゃにわ」共
にFacebook・Instagramがあります


食べた時に
ニコってなるごほうびスイーツ
sweets nico

可愛らしいスイーツ 150円~

シュトーレン2800 円 (1月以降の販売は応相談)

 我が家の台所にはおやつのへそくり、略して「おやくり」を隠す場所がある。家事を頑張ろう!と気合を入れる時や、ひとりの時間に味わいたいのが、sweets nicoのお菓子だ。
 作り手の改田聡子さんは母親の影響で、幼い頃から菓子作りを始め、中学時代の部活では毎週土曜日にクレープを振舞っていた。15年前、その味を覚えていた同級生が「身体に良い素材でお菓子を作ってほしい」とオーダーしたことが、sweets nicoを始めるきっ
かけになる。
 ある企業からオーガニックシュガーのサンプルを取り寄せたところ、それまでの菓子が格段においしくなることを知った。1キロ以上届いたサンプルのお礼に菓子を送ったところ、販売したいので菓子製造業の許可を取ってほしいと依頼され、自宅の改築に踏み切った。店舗を持たずに受注やイベントでの販売にした理由は、2人の息子のバスケットボールクラブへの送迎を優先させたかったからだ。
 国産小麦、オーガニックシュガー、平飼い有精卵など厳選素材で作るお菓子のファンは多い。「お客さまに喜んでもらえた時に大きな幸せ、自分の存在価値を感じられる」と改田さん。最近は茨城県高萩にある結農実WORKSの無農薬栽培のほおずきでタルトを作った。「甘酸っぱくて、あんずよりもさわやかです」とのことだ。試行錯誤の末、中心部分に栗の渋皮煮を入れたシュトーレンも好評だ。
 モノづくりにはその人の感性が表れる。子どもの夢をサポートしながら自分の菓子作りを続けてきた改田さ

んの人生と、シュトーレンの深い味わいが重なった。

ほおずきのタルト 600円~

改田聡子さん

食べるライター 片岡 綾

おいしいものを探して自転車で街を駆け巡る日々の中、我孫子の食の豊かさに開眼。「食べるために生きる」がモットーの40代一児の母。


郷土史家/江戸東京散歩茜会 代表      越岡 禮子

我孫子は歴史と文化が蓄積された街。
史跡や場所の由来を知ると、街歩きを深く楽しむことができます。
人の知らない我孫子を発見し続けている越岡禮子さんが、
お勧めのスポットをシリーズで紹介します。

第8回 新木の成田街道沿いを歩く

 新木駅から北へ100メートル程進むと成田街道にでます。この街道は古く、天和年間に取手宿に付け替えされるまで布佐、布川方面へと続く水戸街道でした。東へ数分歩くと一本の立派な石柱があり、「従是東 千葉県東葛飾郡布佐町 昭和二年建立」と刻まれていて、かつての湖北村との境でした。
 街道を西に戻り、右手に長福寺があります。現在は下新木自治会集会所となっていて入口に「榊八幡宮」という小さな社があります。維新の頃、榊原何某という者の首が埋まっていたのを掘り出し神社として祠ったと伝わっています。境内の大師堂(相馬霊場八十一番札所)に十六羅漢の透かし彫りがあります。
 街道をさらに西に進むと街道沿いに古い鳥居があり、大樹の繁る参道を下ると神武天皇の父を祭神とする葺不合神社があります。拝殿はかつての厳島神社で彩色された弁天様が祠られています。拝殿の後に、明治の神社合祀令で近くから移築された本殿の彫刻は見事です。天の岩戸、八岐のおろち退治など日本神話が題材になっています。創建は奈良朝に遡る古社です。境内に七十七番札所や珍しい石造物、祠が数多くあります。
 街道に戻りゆるい坂道を下り、また昇り切った右手の道に入ると昭和61年に創建された浄土真宗真栄寺があります。朝晩鐘が打たれる鐘楼の下に俳人金子兜太の句碑があります。

「梅咲いて庭中に青鮫が来ている 兜太」

 生前の金子は住職と懇意で、度々来訪して懇話会を開いていました。真栄寺から街道を渡ると近くに踏切のある道があり、直進せずに左手の道を行くと秋に彼岸花で有名な香取神社があります。神社前の道を東へ道なりに進むと新木駅に戻ります。

本殿のみごとな彫刻(葺不合神社)

金子兜太の句碑(真栄寺)


 今年もステーションが協力している男女共同参画室の連続講座に多くの方が参加してくださっています。特に今年は男性の参加者も増え、新たな繋がりができつつあります。子育て世代の女性も男性も共に「自分と家族と地域と未来」について強い課題感を持っています。そして、これまでの自分から変化していくトランジションの状態にあり、共に模索をしています。(野際里枝)
施設利用のご案内 我孫子で活動を「みつける」「はじめる」お手伝いをしています。
■開設時間 9:00-21:00
      17時以降は予約のみ開館。17時以降のご予約は2日前までにお願いします。
■休館日  毎月第2・4月曜日 祝日は開館270-1151 我孫子市本町3-1-2 けやきプラザ10階
Tel・Fax 04-7165-4370
https://www.td-f.co.jp/abikosks/
abikosks@themis.ocn.ne.jp
 
まち活マガジン あびこ市民活動ステーション情報紙No.21
発行日:2022年1月1日/発行元:あびこ市民活動ステーション[指定管理者:(株)株式会社東京ドームファシリティーズ]
デザイン・レイアウト/人を通して障害を識るフリーペーパー「gente」編集長 大澤元貴

PDFは、こちらの画像をクリックすると表示できます。

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