まち活マガジン2021年7月号(No.19)
- 2021/6/21
- まち活マガジン
楽しみ、愛し、守る手賀沼の自然と野鳥
活動歴の長い団体の多い我孫子の中でもとりわけ長い歴史を持つ
我孫子野鳥を守る会。男性中心の会という印象だったが、
女性会員も多く、親子会員など、様々な人達が集う。野鳥を楽しみ、
愛するとともに守ることを根幹にすえ、地道な活動を半世紀も続けている。
Contents.
まち活団体紹介
我孫子野鳥を守る会
あびこのおいしいみーつけた!
レストラン「コビアン」
越岡禮子と行く、我孫子の小さな旅
沼辺の遊歩道から「鳥の博物館」へ
つなぐ人~コーディネーターより~
野際里枝
手賀沼周辺の水辺、周囲に広がる田園地帯、利根川等の豊かな河川からなる環境は、文化・歴史とともに我孫子市の大きな魅力となっている。その環境が育む野鳥に魅入られ、活動を展開する我孫子野鳥の会について、会長の船津登さん、副会長の相良直巳さん、事務局長の桑森亮さんにお話をうかがった。
Q:長い活動歴があると聞いていますが、まずは会の成り立ちについて教えてください。
船津:1972年3月に誕生したので、来年で50周年を迎えます。『広報あびこ』第341号(昭和47年4月1日号)の記事によると、手賀沼の汚染によって野鳥が減少することを嘆いた渡辺義雄(初代会長)と高橋敏夫(初代副会長)が発起人となり、8人で結成したそうです。当時は経済発展とともに環境汚染が急速に進んだため、創設者達は手賀沼と水鳥が共存できる社会を目指したい、野鳥を楽しむだけでなく、環境を守らねばという気持ちが強かったようです。このミッションは、現在にも引き継がれています。
渡辺さんは1983年まで、長年にわたり会長を努め、会の根幹を作りました。
Q:50周年記念事業として、どのようなことを企画されていますか。
相良:コンセプトは、① 会の50年のデータを財産として、次世代に引き継ぐこと、② 50周年記念事業への会員の参加、③ 会の活動の社会へのアピールです。記念刊行物やDVDの編纂と発行、講演会、探鳥会、巡回写真展など、8本の柱を立て企画しています。
記念刊行物は、40周年時の「手賀沼の鳥Ⅲ」に続いて、手賀沼周辺の環境変化と約50年にわたる野鳥観察データをまとめた、『手賀沼の鳥Ⅳ』を発行します。一般向けには、手賀沼周辺の探鳥に役立つ「ガイドブック『手賀沼の鳥』」を作成し、市販する予定です。当会の50年の歴史を振り返り、今後の活動を考えるために資料として『50年史』も編纂中です。
講演会は、来年3月、山階鳥類研究所副所長の尾崎清明氏に講師をお願いして行う予定です。市民向けの手賀沼周辺探鳥会と、バスで出かける日帰り探鳥会、我孫子市・柏市を中心とする手賀沼流域7市で巡回写真展も企画中です。
Q:50年の集大成となるすばらしい企画として、実施を楽しみにしております。通常の活動についても、教えてください。
桑森: 定例探鳥会は、毎月第2日曜日に行っています。午前9時(7~9月は午前8時)に市役所前に集合し、車で柏市側の手賀沼に行き、数か所のポイントを順番に探鳥します。遠出探鳥会は、月1-2回くらい、関東近県を中心に会員対象に行います。また、親交のある台湾やモンゴルへの海外探鳥会も実施しています。野鳥・環境を守る活動として、毎月同じ場所で水鳥の個体数を調べる水鳥カウント調査を1977年から行っています。水鳥の数の変化は手賀沼の環境変化と関連しており、44年間集めてきたデータは貴重な資料となっています。県からの委託で1999年から10年間、岡発戸新田地先ビオトープで鳥類調査を行い、その後も継続して鳥類調査、植物等の調査を行っています。
小学校や市民から要望があれば、探鳥指導も行います。イベントへの参加は、5月「Enjoy手賀沼」での探鳥会、9月「市民のチカラまつり」、11月「日本最大の鳥の祭典JBF(Japan Bird Festival)」、12月「手賀沼流域フォーラム」でのふれあい探鳥会、1月環境レンジャーと共催の市民探鳥会などを実施しています。中でもJBFは国内外から参加者がある大きなイベントで、当会もブースを持ち、パネル展示や子ども向け鳥の塗り絵や工作、湖畔バードウオッチング、船上バードウオッチングなどを行っています。
Q:誰でもが関わりやすく、かつまた専門性も備えた活動を展開されていることが理解できました。皆さんのお言葉で、野鳥の魅力について教えてください。
船津:我孫子では、きれいな鳥を近くで簡単に見られるという利点があります。探鳥は、目だけではなく、耳を使って、自然の中に身をおいて行うところに魅力があります。
相良:手賀沼では、年間100種類以上の鳥を見ることができます。沼あり、傾斜地あり、湖岸には鳥の隠れ場あり、また周囲に水田ありと、鳥が生息できる環境が豊富にあるためです。生息環境の多様性は、鳥にも植物にもよい影響を与えています。
桑森:野鳥の魅力は、きれいなこと。カワセミなど、きれいな鳥でしょう。声がまたいいのです。シャワーのように降り注ぐ春から初夏にかけてのさえずりは、大変に魅力的です。
相良:春から夏にかけては、生まれたてのひなを親が背中に乗せて泳ぎ、親鳥は子に一生懸命餌を与え、天敵から子どもを必死で守ろうとする姿が見られます。それでも、ひなが生き残る確率は1割程度と低いのです。そんな「命のリレー」を間近に見ることは、感動を与えてくれます。
桑森:野鳥の楽しみ方は、それぞれが見つけることができます。野鳥が暮らす生態そのものを楽しむ、鳥を見て楽しむ、写真を撮る、データを分析するなど、自分の嗜好で楽しむことができるので、ぜひ一度体験してみてください。
お話をうかがうことで、「野鳥を楽しみ、愛し、守る」という会のミッション中の、「守る」ことに込めた思いを知ることができた。私達も生物多様性の一部であるのに、損なう側になっていることを日頃は意識すらしていない。手賀沼のおかげで、自然や人間以外の生き物の視点から暮らしを見つめ直すことができる我孫子。改めて、我孫子の資源の豊富さを感じさせられた。
我孫子野鳥を守る会
お問合せ TEL / FAX 04-7182-3149(桑森)
メール aym@abikoyacho.sakura.ne.jp
毎日行きたい 我孫子のファミリーレストラン
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ランチは好きなものを食べるのが私のモットーだ。最近のお気に入りは、我孫子駅南口にあるレストラン「コ・ビアンⅠ」のきのこのパイ包みスープ(440円)と、フォークを入れるとホロリとほぐれる豚肉のクリーム煮(880円)。きのこがたっぷり入った温かいスープは、暑い季節も冷房で冷えた胃を温めてくれるだろう。 ■レストラン「コ・ビアンⅠ」 |
食べるライター 片岡綾 おいしいものを探して自転車で街を駆け巡る |
我孫子は歴史と文化が蓄積された街。
史跡や場所の由来を知ると、街歩きを深く楽しむことができます。
人の知らない我孫子を発見し続けている越岡禮子さんが、
お勧めのスポットをシリーズで紹介します。
第6回 沼辺の遊歩道から「鳥の博物館」へ
深緑の手賀沼公園から沼辺の遊歩道を散策しながら、「鳥の博物館」を訪ねてみましょう。
広い公園内には生涯学習センター「アビスタ」があります。館内には市立図書館、地区公民館があり、屋上展望台では毎年1月下旬の夕方にダイヤモンド富士が望めます。隣接し、原爆で被爆した旧広島市庁舎の側壁を用いて建立された「平和記念碑」や、地元出身の我国の歯学界のパイオニア「血脇守之助顕彰碑」、白樺派や民芸運動に係わった英国の著名な陶芸家バーナード・リーチの「巡礼碑」があります。遊歩道に入る手前のリーチ岬と呼ばれる小さな岬からは、大正の昔、リーチがエッチングに描いたままの景色と落陽を今も見ることができます。最近の遊歩道は桜の名所として知られていますが、低い堤が築かれたため、水面が望めなくなりました。
リーチ岬から数分進むと「文学の広場」があり、白樺文士を紹介する解説板と昭和8年に市内の柴崎沼で詠んだ斎藤茂吉の最高秀歌といわれる一首を刻んだ歌碑があります。
「春の雲 かたよりゆきし 昼つかた 遠き真菰に 雁しづまりぬ」
遊歩道をさらに進み、県内で最も美しい橋といわれる手賀大橋の下を抜けると「手賀沼親水広場・水の館」があり、ミニ手賀沼、農産物直売所、プラネタリウム、手賀沼を一望できる展望台等があります。道路を挟んで我国で唯一の鳥の専門博物館「市立鳥の博物館」があり、「人と鳥の共存をめざして」をテーマに手賀沼の水鳥のジオラマや常設展示「世界の鳥」等貴重な資料が展示されています。「鳥の博物館」の隣に、世界的に有名な山階鳥類研究所があります。
あびじょカフェを通じて、自分たちが今感じていることを言語化し、整理、分析していくことにフォーカスしてきました。そうしていく中で、我孫子の市民活動の歴史や厚みが今の子育て世代に必要なリソースであることを感じはじめています。次のフェーズがやってきています。(野際里枝) |
施設利用のご案内 我孫子で活動を「みつける」「はじめる」お手伝いをしています。 270-1151 我孫子市本町3-1-2 けやきプラザ10階 |
まち活マガジン あびこ市民活動ステーション情報紙No.19 発行日:2021年7月1日/発行元:あびこ市民活動ステーション[指定管理者:(株)株式会社東京ドームファシリティーズ] デザイン・レイアウト/人を通して障害を識るフリーペーパー「gente」編集長 大澤元貴 |
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