まち活マガジン2021年5月号(No.18)
- 2021/5/3
- まち活マガジン
シェアブックでまちづくり
絵本と子どもを主体としたステーションでの新しい取り組みがスタート。
リユースされた絵本が、まちのなかで循環し人の輪を作って行く。
多世代交流の新たなプラットフォームです。
Contents.
まち活団体紹介
あびじょ±絵本
あびこのおいしいみーつけた!
「WITH the COFFEE」
越岡禮子と行く、我孫子の小さな旅
古利根沼周辺を訪ねる
つなぐ人~コーディネーターより~
高橋由紀
4月からあびこ市民活動ステーションでスタートした「あびじょ±(プラスマイナス)絵本」、通称「プラマイブック」の取り組み。家にある絵本を持ってきて、ステーションにある絵本と交換ができる取り組みです。このプロジェクトの企画者である成瀬美幸さんと内藤順代さんに、その経緯とこれからの展開についてお聞きしました。
Q:この取り組みをはじめようと思ったきっかけは、何だったのでしょうか?
成瀬:私たち、二人とも整理収納アドバイザーの資格を持っているのですが、子育てをしていると、家の中で「絵本」って子どもが成長するといらなくなっちゃうんですよね。すごくキレイな状態だったりするのに使わなくなっちゃうって「すごくもったいないな」って、二人で言っていたんです。あびこショッピングプラザでフリーマーケットもやらせていただいたりして、子どものオモチャなども一緒に売ってみたのですが、本についてはシェアするような仕組みができないか、と思っていたんです。そこであびこ市民活動ステーションに相談させていただいたところ、協働事業としてシェアブックの取り組みを企画しました。
Q:昨年からの新型コロナ感染症流行の影響もあったかと思いますが、準備期間で大変だったことはありますか?
内藤:予定していたフリーマーケットが中止になり、集めたものをどう扱っていいのかも悩みました。フリーマーケットの前に絵本が600冊程集まったんですが、今後どうなるかわからなかったので、一時自粛解除の時に行ったフリマでだいぶ売ってしまったんです。その後、このプラマイブックの企画が立ち上がり、新たに絵本を集めて今は200 冊ほど集まっています。目標は1000冊です。また、本の消毒などの作業もありました。
Q:この取り組みで目指しているのは、どんなことでしょうか?
成瀬:私たちがこの取り組みで作りたいものは二つあります。一つは「子どもの市民活動の場」です。絵本を介して、子どもたちがまちづくり・市民活動というものに触れてほしいと考えています。たとえば、絵本の蔵書のハンコを押したり、おすすめメッセージを書いたしおりを作ったり。子どもたちと一緒にこのプラマイブックの本棚を育てていきたいと思っています。そして、ロゴの蔵書印を作ってくださった松本さんや、イメージ写真を撮影いただいたあびこ写心クラブ“遊友”の山崎さん、絵本の整理ボランティアをしてくださった高校生など、この取り組みが多世代交流のプラットフォームとして機能していくといいなと考えています。
もう一つは「ものを捨てない、リユースの仕組み」です。昨年のコロナ禍で家の整理をする方が増えたと思いますが、「家の中の整理をする=ものを捨てる」ではなく、自分のところで使わなくなったものは他の人に使ってもらう、という考えが広がっていくといいなと思っています。また、市民活動の中で「ゆずる」「寄付する」というのはとても大事な活動だと思っています。「もの」を人に「ゆずる」ことで、まちに住む人の心と暮らしがより豊かなになればいいなと思います。
Q:プラマイブックについて詳しく教えてください。
内藤:あびこ市民活動ステーションに絵本の本棚を設置しています。家でいらなくなった絵本を持ってきていただくと、ステーションのプラマイブックの本棚の絵本と交換できます。読み飽きたらまた持ってきていただいて交換してもらっても結構です。1回に5冊まで交換が可能で、交換せずにステーションのフリースペースで読むだけでもいいです。ステーションが開館しているときであれば、いつでも利用が可能です。
また「図書館とどう違うの?」と聞かれるのですが、私たちはこの本棚に並ぶ本の選書をしません。厳しい選書がないことで、もっと自由に読まれている本や読みたい本が集まる本棚を、みんなで育てていくようにしたいんです。「期間内に返しに行かなきゃ」と思う必要もありませんし、自分のものにしていただいてOKです。そこが図書館と大きく違うところです。
Q:「プラマイブック」の名前の由来はなんでしょうか?
成瀬:ひとことで趣旨が分かるような名前にしたかったんです。自分の本棚からも、プラマイブックの本棚からも、出て、戻る。量としては、プラスマイナスゼロ。そんなイメージです。「あびじょ」は昨年度からのステーションでの子育て世代のまちづくり取り組みのプロジェクト名から活用させていただきました。
Q:今後の展開についての考えを教えていただけますか?
成瀬:子どもたちが参加できるイベントを企画していきたいと思っています。たとえば「読み聞かせ」ですが、大人が子どもに対して読み聞かせをするものはよくありますが、プラマイブックの活動では、子どもが子どもや大人に読み聞かせをするような取り組みをしたいと思っています。絵本棚を外へまるごと持って行っての「出張シェア会」も楽しそうだなと思っています。
昨年末から準備に奔走してきたお二人。周囲に声をかけ、協力者を集め、段取りを決め、あっという間に形にしていきました。子育て世代・子ども若者のまちづくり活動の一つとして、今後も面白い展開を期待しています。
日常に彩りを添えるコーヒースタンド
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JR 我孫子駅南口に今年1 月、スペシャルティコーヒーのコーヒースタンド「WITH the COFFEE」(ウィズ ザ コーヒー)がオープンした。我孫子出身の店主、青木裕司さんが厳選したオリジナルブレンドや、カフェラテに合わせたエスプレッソブレンドなどを一杯ずつ、挽きたて・淹れたてで提供している。 ■「WITH the COFFEE」 |
食べるライター 片岡綾 おいしいものを探して自転車で街を駆け巡る |
我孫子は歴史と文化が蓄積された街。
史跡や場所の由来を知ると、街歩きを深く楽しむことができます。
人の知らない我孫子を発見し続けている越岡禮子さんが、
お勧めのスポットをシリーズで紹介します。
第5回 古利根沼周辺を訪ねる
利根川百景の一つ、古利根沼は江戸期そのままの大利根の姿を今も伝えています。
湖北駅北口から成田街道に出て、我孫子寄りに少し進み、長光院脇の道から左に進むと曹洞宗の古刹、法岩院があります。天文11(1542)年創建、本尊は釈迦如来。戦国時代の芝原城主の河村出羽守勝融が開基と伝わり、河村氏の墓が本堂脇の小山の上にあります。かつては田寺と呼ばれ、周囲は水田が広がっていました。墓地側の門から出ると交差点のすぐ前に緑濃い台地があり、そこが河村氏の居城、芝原城址です。台地に沿った小道を進
むと間もなく水面きらめく古利根沼があり、対岸は取手市の飛地、小堀集落です。鉄道開通以前は舟運で大層賑っていました。
古利根沼は明治43年の大水害を機に治水工事が行われ、利根川の蛇行部分が残った沼です。汀に波切不動尊社があり、豊かな自然観察や魚の釣りもできる人気のある沼です。小堀には取手市街と結ぶ利根川渡船場があり、船から望む利根川の、季節ごとに変わる景色は素晴らしく、大変好評です。(定員13名、正時に運行)
台地下の小道に戻り城址内の一本道を行くと、空堀や3つの郭跡なども残り、広さは東西400メートル、南北300メートルもあります。台地の北側からは古利根沼や小堀の集落を眼下に望むことができます。一本道をさらに進むと三差路があり、石柱に「ふさ、木下道」などと刻まれた追分道標があります。左に行くと小堀や利根川方面へ。右に進むと湖北駅方面に戻ることができます。
新型コロナウイルス感染拡大の不安をかかえたまま、1年が経過しました。その間、市民活動ステーションの休館や団体活動の停滞という事態はありましたが、オンラインの導入や密を避けた活動を模索する団体も多々ありました。市民活動は困難に強いこと、人との関係を紡ぐためには必要なのだということをしみじみ感じました。(高橋由紀) |
施設利用のご案内 我孫子で活動を「みつける」「はじめる」お手伝いをしています。 270-1151 我孫子市本町3-1-2 けやきプラザ10階 |
まち活マガジン あびこ市民活動ステーション情報紙No.18 発行日:2021年5月1日/発行元:あびこ市民活動ステーション[指定管理者:(株)株式会社東京ドームファシリティーズ] デザイン・レイアウト/人を通して障害を識るフリーペーパー「gente」編集長 大澤元貴 |