まち活マガジン 2020年3月号(No.11)
- 2020/2/27
- まち活マガジン
- gente, あびこのおいしい, カフェと雑貨のウイング, サイエンスクラブ”これからっと”小松, 中塚和枝, 吉澤淳一, 大澤元貴, 居ながら八景歩き, 我孫子のいろいろ八景, 我孫子の景観を育てる会, 文豪が歩いたハケの道, 片岡綾, 理科のうた, 藤咲和美, 飯田俊二
まち活マガジン 2020年3月号(No.11)
特集 : 知り、学び、育てたい「我孫子の景観を育てる会」
まち活掲示板 : 理科のうた「生徒の気持ち」
あびこのおいしいみーつけた : 1店で4度おいしい!季節を感じる「カフェと雑貨のウイング」
つなぐひと : 受け継がれる市民活動のスピリッツ(精神)
知り、学び、育てたい
我孫子の景観
「景観」は「風景」とは違い、ただそこに在るものではない。
誰かが意識的に見ることにより、
見るべき価値があると感じることによって
風景は景観になる。
その場所を形づくった歴史や文化を知り、学び、
景観として育てていく。
15コースの我孫子八景を見つけ、育てている人達に出会う。
我孫子には、育てたい景観がいたるところにあることを知る。
写真提供 : 我孫子の景観を育てる会
その場所を形づくった歴史や文化を
知り、学び、景観として育てていく。
古道をたどり森と水辺が招く古利根コースからの景観
2001年に設立され、来年で20周年を迎える「我孫子の景観を育てる会」の中塚和枝さん(会長)、飯田俊二さん(副会長)、吉澤淳一さん(前会長)に、会の活動や設立経緯についてお話をうかがった。
会設立のきっかけを教えてください。
吉澤:きっかけを知るのは、設立当時の精神を知るという意味で大事ですね。会報紙『景観あびこ』に回顧録をシリーズで書いていますが、設立経緯は第93号2019年9月発行に書きました。
きっかけは、2000年に開催された「景観づくり市民講座」我孫子市主催でした。せっかく学んだのだから、これを生かしてグループを立ち上げ、活動の形で活かそうということで21人の受講生有志で始めました。
当時は、メンバーが集まると我孫子の景観のネガティブな面を言い合っていたんですが、よい面を見ないで、改善が必要な面ばかり見ていても前に進まない、我孫子のいいところを見つけようということになりました。この精神は、二大庭園公開事業や八景探し事業につながっていきました。
メンバーのやりたいことを出し合い、広報部会、歴史部会、街並み部会、オープンガーデン部会など、様々な部会が立ち上がり、それが活動の原動力になっていきました。
会の名称を、「景観を育てる」としたのはなぜでしょうか。
吉澤:最初、「守る」か「育てる」かでメンバーの意見が二分されました。「これから探そうという時に、守るのか誇れる景観があってこそ守るのだ」ということで、育てる派が少し多数でした。
後年、ある役員から「『守る会』なら入らなかった」という言葉を聞いて、「育てる会」にしてよかったと思いました。少々おこがましいようですが、景観は市民が育てるもの、景観を大事にする心を育てたいのだという気持ちでした。
飯田:私達の活動目的は、我孫子の景観のいいところを「紹介しよう」という活動だと理解しています。
中塚:水辺、里、街並みの三位一体の景観を、多くの市民に知らせ、関心を持ってもらいたいですね。
中塚さんと飯田さんはいつ、どのようなきっかけで入会されましたか。
中塚:2013年に、観桜会に参加したことがきっかけで入会しました。
飯田:10年前くらいです。日立庭園公開のお手伝いのためということで入りました。
お二人とも、庭園公開事業がきっかけで入会されたのですね。日立の庭園公開について教えてください。
吉澤:日立アカデミー我孫子研修所の庭園は、私が我孫子の坂道調べをしていて、研修所の敷地を二分している坂道(現日立坂)を何度か歩いていた時に知りました。奥深い庭園に興味をひかれ、2002年6月に見学させてもらいました。入口から本館に至る前庭に植えられたヒマラヤ杉の大木、鬱蒼たる自然林の中に建つ別館、谷底の湧水池など野趣豊かな景観にひかれ、庭園の一般公開を申し込みました。幸いにも承諾いただき、その年の11月には実現しました。詳細については、『景観あびこ』第94号の「回顧録2」に書いています。
中塚:昨年で28回目となりましたが、広く知られるようになり2千人以上が訪れます。回を重ねる毎に工夫して、来場者へのおもてなしとしてお茶の提供、コカリナ(木でつくられたオカリナ)演奏なども行っています。
我孫子ゴルフ倶楽部の市民観桜会について教えてください。
吉澤:一般論としてのゴルフ場の環境配慮に懐疑的だったのですが、支配人から自然の起伏を利用したゴルフ場であること、地域に貢献したいという話を聞き、立派な桜の木もあるし、めったに見られない景観を見てもらうことができると庭園公開を行うことになりました。詳しい経緯は96号2020年3月発行予定に載せる予定です。
飯田:去年で16回目、手入れの行き届いたゴルフ場のたたずまいや春の景観を2千人超の方に楽しんでいただきました。今年は、3月30日(月)に行う予定です。
中塚:庭園公開のノウハウがあるのでと依頼され、去年は旧武者小路実篤邸の庭園公開もお手伝いしました。
現在の中心的なもう1つの事業、「八景歩き」について教えてください。
吉澤:16年前に我孫子の八景歩きをやろうと提案した時には、時期尚早でした。その後「我孫子市景観づくりシンポジウム」(市との共催)の延長線でまた持ち出したところ、会員に火がつきました。八景は全国どこにでもあるんですが、どこにもないものとして、ジャンル別八景を考えました。
市が民営化事業を公募した時に、景観推進室を通して「我孫子のいろいろ八景」を提案し採択されて予算がつきました。八景探しに3年、八景歩きに3年、普及・定着に3年という計画で、現在は普及・定着期です。
具体的には、どのようにコースを作ったのですか。
中塚:2012年から、3年間かけて市民公募で募りました。ジャンルは、①斜面林・田園、②街並み、③公園、④坂道、⑤ハケの道(崖地形に沿った道)、⑥水、⑦桜、⑧成田線車窓の8つで募集しました。2015年からは、集まった八景をもとに我孫子、天王台・東我孫子、湖北、布佐・新木の4つのエリアに分け、駅を中心に23時間で歩ける34キロのコースを作りましょうということで、会員で分担して何度も歩きました。そして、決定したコースを地図にする作業を行い12のコースが完成しました。それに桜八景、水八景、成田線車窓八景を加え、合計で15の八景マップができ、今は作ったコースを春と秋に案内し、「我孫子のいろいろ八景」として普及・定着を図っています。
規模といい、多様性といい、すばらしいコースがたくさん生まれました。この八景歩き事業の展開はありますか。
中塚:八景歩きで写してきた写真を使って説明する「居ながら八景歩き」を、市民のチカラまつりや中央学院大学の大学祭などで行いました。聞いてくれた方達には、とても好評でした。
去年の11月には、教育委員会に協力して「文豪が歩いたハケの道」として杉村楚人冠、志賀直哉、武者小路実篤にちなんで歩きました。八景歩きマップを使って、発展させた活動です。
今後の活動についてお聞かせください。
飯田:八景歩きの普及、定着をしっかりと進めたいです。
中塚:私は、高い志を持つ先輩達の意志を引きついで、庭園公開と観桜会をきっちりやりたいと思っています。課題は高齢化していることで、イベントをやるのに今後どうやって人手を集めていくのかを考えています。若い世代と、もっとつながりたいとも思います。
景観を育てることは、大きな夢と将来性のある事業だと思う。二大庭園公開事業、我孫子のいろいろ八景の開発および普及・定着事業の他、ストリートガーデンという概念を提示した分科会活動や旧村川別荘の価値再発見など、我孫子の社会資源発掘につながる活動は枚挙にいとまがない。この豊かな発想に支えられた活動を知り、関わりを持ったなら、これまで知らずにいたことを残念に思うことだろう。我孫子の未知なる一面を知ることができる八景歩きを、ぜひ経験してみてほしい。
我孫子の景観を育てる会 設立 2001年6月16日 会員 52名 活動内容 庭園公開、景観散歩、おでかけ倶楽部、 三樹会運営支援、旧村川別荘市民ガイド運営 支援、美化掃除活動など 年会費 2000円 ホームページ http://abikokeikan.g1.xrea com/ 連絡先 飯田 abi2119273-syun@galaxy.ocn.ne.jp |
1店で4度おいしい!季節を感じる
「カフェと雑貨のウイング」
住所:我孫子市中峠1270 1
電話:04-7187-4505
定休日:日曜・祝日
ショッピングが大好きな私と娘のお気に入りの店。それは、湖北駅北口にある「カフェと雑貨のウイング」だ。2階建ての一軒家は、カフェスペース、手作り品の販売スペース、手芸用品販売スペースが同居し、いつも楽しさにあふれている。
店内には季節を感じられる工夫が随所にある。去年の12月、カフェで飲食をすると運ばれてきたプレートに、折り紙で作ったツリーやサンタクロースがさりげなく置かれていた。持ち帰り、今も大切に保管してあるが、なんとツリーはスタッフ総出で200個も折ったそうだ。また、おいしい手作りケーキとドリンクのセットが600円のため、「お茶しちゃおっか!」と気軽に利用できるのも嬉しい。食後は定期的に変わる販売スペースの手作り品を見て物欲と戦う。さらに2階にある個室では手芸などの各種教室が開講され、見本作品を見ていると不器用な私でさえ、何か挑戦してみたいなと思う。個室もリーズナブルな価格でレンタルできる。
「120人の作家さんの作品に日々囲まれて楽しく仕事しています」と藤咲和美店長が話す通り、行けば必ず素敵な作品や食事、そして人に巡り合える。娘を幼稚園バスに乗せた後、一人でのんびり過ごすこともあるが、スタッフの皆さんの温かく、ゆったりとした接客に思わず時間を忘れてしまう。カフェ、作品販売、手芸用品販売、教室と1店に4度楽しめる同店は地域で愛され、今年5月で4周年目を迎える。ほぼ毎月月末の金曜、土曜日に店内で「手づくりまるしぇ」が開催され、3月は27、28日に開催予定だ。ぜひ行って、一期一会の宝物を探してみてはいかが?
食べるライター 片岡綾
2017年末に流山市から我孫子市に転居。
おいしいものを探して自転車で街を駆け巡る日々の中、
我孫子の食の豊かさに開眼。「食べるために生きる」
がモットーの40代一児の母。
あびこで市民活動に関わる子育て世代の女性たちが、とてもエネルギーに満ちているのを感じます。もともと市民活動が活発な我孫子、そのスピリッツ(精神)が脈々と受け継がれているのでしょうか。先を行く人たちから、理論的に事業を作るノウハウを学び 、 若い世代が新しい時代の枠組みを作っていけるとこれからの我孫子ももっと面白くなりそうです。子育て世代や学生の地域参画のしかけをこれからも考えていきたいと思います。(野際)
まち活マガジン あびこ市民活動ステーション情報紙 No.11 2020年3月号 発行日:2020年3月1日 発行元:あびこ市民活動ステーション(指定管理者:㈱東京 ドームファシリティーズ 情報紙制作監修:『gente(ヘンテ)』編集長 大澤元貴 |
このページは、「まち活マガジン2020年3月号」を、
ホームページ用にリメイクして載せたものです。
印刷版の画像は、以下からご覧いただけます。