まち活マガジン 2020年2月号(No.10)
まち活マガジン 2020年2月号(No.10)
特集 : 湧き出る知の泉を見つけ、このまちを潤す人達「ふれあい塾あびこ」
まち活掲示板 : 理科のうた「阪神・淡路大震災」
あびこのおいしいみーつけた : 近所で名画、本格カレーを堪能できる「Gallery Café 紅屋」
つなぐひと : 事務所を出てまちに出よう
湧き出る知の泉を
見つけた人達
古今東西の文学・歴史・音楽・美術と多彩、月に4~5回の生涯学習講座を開催。
講師は研究者に限らず、社長や大使経験者など、キャリアあるその道の専門家。
質・量とも豊富な講座を20年間提供してきたふれあい塾あびこのメンバーは、
湧き出る知の泉を見つけ、このまちを潤す人達。
近くで、安く、簡単に買える
知恵のりんごを提供
立川談吉独演会の様子
NPO法人として、民営の生涯学習の場「ふれあい塾あびこ」を運営する秋田桂子さん(理事長・塾長)と多田正志さん(前理事長)に、20年間の足取りや継続の秘訣をうかがった。
Q.月4~5回の講座を開講するという頻度もそうですが、テーマが多彩なことに驚きます。どうやって決めるのでしょうか。
秋田:市民目線の生涯学習の場という視点から、特にシニア世代・定年後の世代が関心を持ちそうなことは何でも講座に取り入れてきました。今年1月末までの開催講座は1,239講座ですが、その内訳は、政治経済79、我孫子を知る84、暮らしの智恵102、趣味155、健康59、音楽131、宗教39、美術・歴史218、文学250、交流35、見学33、自然科学54講座となっています。講座テーマなどは、月1回の企画会議で決めています。それぞれが自分とつながりのある講師や、いろんな資料などから探した講座を推薦、協議したうえで採択を決めて、担当者が講師との連絡調整をし、募集チラシやレジュメを作ったり、当日の段取りを決めたりしています。
Q.これまで何人くらいが受講しましたか。
秋田:発足当初の受講者は「塾生」13人だけでした。この「塾生」はその後50人に増えましたが、そのころからは広い会場を確保して、一般市民の方も受講できる公開講座が中心になり、いまはすべて
公開講座になりました。公開講座の受講者は平均50人前後で、時には100人を超すこともあり、その結果、受講者は一気に増え、現在までの延べ受講者は、48,000人を超えています。
Q.年間にして約2,500人と、ずいぶんと多くの人達に「知恵のりんご」を手渡してきたと思います。そもそもどのような経緯で設立したのでしょうか。
多田:1998年当時、我孫子に住む会社時代の先輩から「お互いリタイアしたのだから、何か我孫子ですることを考えないか」と声を掛けられ、まずは地域の実情を勉強する会を作ろうと、知り合いの男ども17人を集めて「あびこ懇話会」を作りました。そしてメンバーの幼稚園の理事長さんから「いまの子どもにはお年寄りとふれあう機会が必要だ」という提案があり、それをきっかけに「高齢化時代の生涯学習と世代間交流の場」をコンセプトにした「ふれあい塾あびこ」を2000年9月に開塾しました。幼稚園を会場に、午前中は講師を呼んで話を聞き、お昼ごはんを園児と食べ、午後は同好会(太極拳、囲碁、読書会、名曲鑑賞など)、時には園児のお母さんと交流する、というまさに三世代ふれあいの「塾」でした。
Q.当時の定年層のパワーを感じます。
それが今でもふれあい塾あびこの根底に流れ続けているようですね。
多田:その後も同じ思いの後継者が逐次加わってくださり、それが20年という長寿の最大の理由です。ただし、私ども創業メンバーはもう80歳代となり、引き継いだ第2、第3世代も高齢化してきて、いま新しい運営メンバーを募集中です。
秋田:受講する人達に、努力を積み重ねて輝いている講師の生き方や、企画している私達も楽しんでいることを感じてほしいと思って企画しています。
Q.法人化はいつされましたか。
設立当時、これからのNPOは法人化しなければという風潮だったので、2000年10月には申請して、翌2001年3月に認証されました。我孫子で3番目のNPO法人でした。
Q.去年まで担当されていた市民カレッジについても教えてください。
多田:我孫子市が2006年、全国で初めての「提案型公共サービス民営化制度」を始めました。応募するのも市民活動団体の役目と思い、それまで我孫子公民館が行っていた「市民カレッジ『文学歴史コース』」の後半に、我孫子市や市民活動の現状を知る講座を加えて「『我孫子を知る』コース」(全12講座)にするという提案をして採択されました。このコースは翌2007年度から2017年度までの11年間実施され、合計389人の市民が受講しました。2015年からは市民活動の現場訪問を課外授業として行ったことで、「私も何かやってみたい」という人が増えて、地域活動の動機付けカレッジの役割を果たしていました。残念ながら、2017年度で閉校されました。
Q.量と質を確保しながら、20年間続いてきたことについて、やりがいや思いを聞かせてください。
多田:継続に必要なのは、人・金・場所・情報・ものといいますが、「ふれあい塾あびこ」には何よりも企画・実施する「人材」がありました。
秋田:「卒業のない学校」ですから、絶えず、新しい講師、テーマを探してゆくのは大変なことです。最近は市が主催する無料の類似講座なども増え、講座会場探しも楽ではありません。でも苦労して組み立てた講座が大入りで、受講者にも好評だとうれしいです。この活動を通じて、新しい仲間やすばらしい講師に巡り合えるのもありがたいことです。私も入って10年になりますが、先輩達が続けてきた財産を今後も積み上げていきたいと思います。
多田:いま、介護予防のためにも地域活動を、が呼び掛けられていますが、私などもこういう活動してきたおかげで、まだ介護保険のお世話にならないで済んでいると自覚しています。ときに面倒なこともありますが、それを含めて定年後に知り合った地域の仲間たちと、ほどほどに頭を使い、ほどほどに体を動かす、こういう活動は老後にあったほうがいいと考えており、「元気な高齢者の方々は地域活動へご参加を」と、あちこちで呼び掛けています。
20年間、毎週講座を開講するのはさぞや大変ではないかと思っていたが、多田さんも秋田さんにも、負担感も疲労感も見せず、楽しそうにお話しくださった。「立川談吉独演会」に写真撮影のためにお伺いしたが、高座組みたて、椅子配置から後片付けまで、流れるようにこなすメンバーの姿が印象的だった。知恵の泉から水を飲み続ける人達は、永遠の若さを保つことができるのだろう。ふれあい塾あびこの活動は、文化豊かな我孫子の一翼を担っていることを感じた。
NPO法人ふれあい塾あびこ 講座日 原則、毎週月・木 お好きな講座にどなたでも参加可 受講料 1講座 700円~1,000円 会 場 アビスタ、市民プラザ ホームページ https://www.fureaijyuku.com/ 問合先 秋田 keiko.akita@icloud.com |
近所で名画、本格カレーを堪能できる
「Gallery Café 紅屋」
住所:我孫子市湖北台2-21-13
電話:080-6638-6369
定休日:月・火曜日
湖北の田園風景を眺めながら手賀沼ふれあいラインを走ると、白い外観の瀟洒な一軒家「Gallery Café紅屋」が見えてくる。最初は“子連れで入れるかな……”と躊躇したものの、画家のマダム、金井千絵さんの醸し出す穏やかな雰囲気と子どもへの優しいまなざしに安心しきって通っている。さらに店内に飾られた絵画や卓上のステンドグラスのランプ、センスが光る食器なども心を豊かにしてくれる。幼稚園児の娘も「このお店が出来て良かったよね!」と嬉しそうに過ごしている。我が子はカレーセットの中のチャパティと甘めのカレーソースがあればご機嫌。私は季節の野菜たっぷりの本格的な欧風カレーや絶妙な甘さのチャイをゆったりと味わうことができる。
少し前のことだが、食事中に娘があるきっかけで激しくぐずりだした。こういう時、親としてはなす術がなく、途方に暮れる。他のお客さんの目も気になり、冷静になろうと外に連れ出して戻ると金井さんが「どうしました?」と声をかけてくれた。「食べ物を落としてしまったのがショックだったみたいで」と答えると「食べ物を大事にして偉いね」と言われて、今度は私が泣きそうになった。以来、私はさらにお店のファンになった。そして子は親の心理を良く見抜いている。「おいしいものが食べたいなあ」と私が言うと「じゃあ、あの白いお家のカレー屋さんに行こう!」と誘うんだもの。
※残念ながら欧風カレーは2月末で終了し、4月中旬頃からメニューを変えてリニューアルオープンを 予定。
食べるライター 片岡綾
2017年末に流山市から我孫子市に転居。
おいしいものを探して自転車で街を駆け巡る日々の中、
我孫子の食の豊かさに開眼。「食べるために生きる」
がモットーの40代一児の母。
常々、「事務所を出てまちに出よう」と思っています。我孫子のまちの特徴を知るために、新しい出会いの機会を得るために。自分の足で歩いて、肌で感じて、舌で味わってこそ、地域に密着した仕事ができると思います。12月から1月にかけては、湖北に行く機会が重なり、いろいろな店に寄り道してみました。接客が温かく、のんびりとしていて旅先にいるような新鮮な気分になりました。我孫子の隅々まで、歩いて探訪したいと思います。(Yu)
まち活マガジン あびこ市民活動ステーション情報紙 No.10 2020年2月号 発行日:2020年2月1日 発行元:あびこ市民活動ステーション(指定管理者:㈱東京ドームファシリティーズ) 情報紙制作監修:『gente(ヘンテ)』編集長 大澤元貴 |
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このページは、「まち活マガジン2020年2月号」を、ホームページ用にリメイクして載せたものです。
印刷版の画像は、以下からご覧いただけます。