まち活マガジン 2019年5月号(No.2)
 特集 : ”楽しみ、学び、地域社会に活かす”をモットーに、いつも新しいことにワクワクしていたい「NPO法人パソコン楽しみ隊」
 あびこのおいしいみーつけた! : 自転車に乗ったままの「横着ショッピング」
 つなぐひと : 思いがけない人とつながる我孫子

いつも新しいことに
ワクワクしていたい。

 

 

 

 

我孫子駅南口に降り立つと、目の前にそびえる11階建てのけやきプラザ、
その10階にある「あびこ市民活動ステーション」。

フリースペースからは、手賀沼が一望でき、遠くに富士山が眺められる日もある。
白壁に赤と黒のテーブルセットの映える空間は公共施設らしくないが、
我孫子市が設置する市民活動推進の場として、年間15,000人以上が利用する。

このロケーションが、人をなごませ、ゆるやかにつなぎ、まちづくりへの契機が生まれていく。

 

“楽しみ、学び、地域社会に活かす”
をモットーに

 

 

 

活発した意見交換が行われ、いつも活気にあふれる「パソコン楽しみ隊」のみなさん。その様子からも充実した活動であることがよくわかります。

 フリースペースに集う人達の中に、ひときわ活気を放つグループがある。「NPO法人パソコン楽しみ隊」だ。今年は設立20周年の節目に当たると聞き、設立のきっかけや活動継続の秘訣などを、代表の桒田(くわだ)律子さんにお聞きすることにした。
―会を作ったきっかけを教えて下さい。
 会を作ったのは、1999年2月でした。きっかけは、「定年になりパソコンで地域のお手伝いをしたい」という男性と出会ったことです。当時、我孫子市では全中学校にコンピューター・ルームを設置し、全国に先駆けてパソコン教育に取り組み始めていました。そこで、私が「学校でパソコン教育支援をやりませんか?」と声をかけ、我孫子中学校で活動が始まりました。その方はソフトの開発が好きで、もうすぐ92歳になられますが、お元気にパソコンを楽しんでいらっしゃいます。
―パソコンの技術向上を目的とした活動なんですか?
 いえ、それだけではなく、この会は社会参加・地域貢献を目的としています。会員になりたいという方には、パソコンを習うことが目的ではなく、パソコン技術を使って地域に貢献してください、そのためにまず研修を受けて技術力をアッ
プさせ、人に教えられるようになってほしいと伝えています。
―現在の会員数どのくらいですか?
 会員数は、50名を超えています。年代は50歳代から80歳代までと幅広いです。男女比は女2:男1で、女性の方が多くなっています。お連れ合いと一緒にパソコン教室に行って、だんだんとわかっておもしろくなり、73歳から入会した女性もいます。会員の活動参加率をデータ化してみたら、なんと86.6%という数字が出ました。皆さんそれぞれができる事を自分で考え、選択し、活動に参加しているのは、すばらしいことだと思います。
―会員の皆さんの表情が生き生きとしているのが印象的です。具体的には、どのような活動をしていますか?
 幅広く活動しています。中学校のパソコン教育支援はずっと継続していて、今は我孫子中学校、布佐中学校、久寺家中学校の三校に行っています。
 パソコンマンツーマン相談、市民ICT講座、ちょいネットカフェ、脳活パソコン連続講座などの講座もやっています。
「ママへのごほうびフェスタ」(9月)や「あびこ子どもまつり」(10月)のようなイベントにも毎年参加して、缶バッチ作り、プリクラ作りをしています。その他、ホームページの制作支援、月1回メールマガジンも発行しています。

我孫子市内の中学校でのパソコン授業の支援。生徒一人一人に合わせて個別対応することで理解度もアップ。
代表の桒田律子さん

―2015年にはNPO法人化しましたが、どのような理由からですか。
 その頃、私に代表をやらないかという声がかかりました。私が目指したいのは、パソコン愛好会のような趣味団体ではありませんでした。自主自立、自他尊重、会員同士、同じ立場で会をつくっていくのが市民活動の本当の姿だと思っていました。どんな会にしていきたいのか自分なりの理想があったので、NPOとNPO法人の違いや法人設立の方法を勉強して、当時の幹事と段取りを踏みながら一緒にNPO法人にしました。法人化することで、ルールに沿って運営することができるようになった事がメリットですね。
―20年も会が続いているのはすばらしいと思います。継続の秘訣は何でしょう。
 会員同士が教えあい、自分を生かす形を取っていることがいいのではないかと思います。それから、パソコンの面白さもあります。人よりちょっと知っていたら気分がいいし、尊敬されるでしょ?自己主張する人は排除される傾向にあるけれど、私は受け入れたいんです。でもそうすると、みんなが言いたいことを言います。NPO法人だと会のミッションが明確で方向性があるので、意見を言い合いながらも継続につながっていくのだと思います。
―市民活動ステーションも会員の研修に使っていただいていますが、研修が充実しているようですね。
 はい、最初は技術習得のために会員になりたい方が大勢です。パソコン技術がなくても活動に参加できる(子どもまつりの受付とか)事業の仕組みがありますので、必ず活動することが条件で研修を受けてもらっています。そして、次にサポーター、講師になって交代していきます。月間で7コースあまりの研修会が一年間あり、ワード、エクセル、パワーポイント、画像編集、ホームページ制作などを学びます。人材育成は大切だと常々思っています。お互いに先生と呼ばない、上から目線にならない、習うのみの関係にならず実際の活動につなげることなどに気を配って研鑽し合います。
こんなに研修が充実している団体は、他にはないと思います。パソコンが好きな人が集まり、研修でスキルを上げて、地域貢献していくしくみになっていて、いい組織だと思います。
―桒田さんは、これまでにも様々な活動歴があるとお聞きしています。
 子どもが1歳の時に我孫子に移り住み、全く知らない土地で子育てをするのに、友達づくり、地域との関係づくりが必要だと思いました。それで我が家を開放して家庭文庫を始め、13年続けました。学校週5日制になった時は、月1回土曜日に学校でいろいろなプログラムをやりました。たとえばボーイスカウトに頼んできてもらって、防火バケツリレーをやったり、人形劇・手品など、地域の人に応援を頼んで様々な催しをやりました。子どもの成長とともに、やることは徐々に変わっていきました。ワクワクするのが好き、新しいことが好きで、われながら好奇心旺盛だと思います。

 年齢を重ねると体力も落ち、新しいことに取り組むのが億劫になるものだが、シニアなメンバーで構成される「パソコン楽しみ隊」は、いつも新しいことにチャレンジしている。なぜなのか、桒田さんのお話からよく理解できた。メンバー同士が研鑽し合うことで学ぶ意欲を保ち続けていること、パソコン技術を人のために活かし、喜ばれることが地域での自己存在感につながっているということ。人はなぜボランティア・市民活動をするのか、パソコン楽しみ隊の人達が身をもって示してくれる。20周年の節目の後も、さらに人をワクワクさせる組織として継続していって欲しい。

NPO法人 パソコン楽しみ隊
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会員     2018年10月1日現在 59名
ウェブサイト https://pasotai.sakura.ne.jp/
会費     ¥1,500円/年 入会金 ¥1,500円
連絡先    pasotai@outlook.jp

「パソコン教育支援」「ホームページの作成」などの
ご依頼は、ウェブサイトまたはメールアドレスより
ご連絡ください。

 

  

自転車に乗ったままの「横着ショッピング!?」

 車の運転免許を持っていない私の愛車は、真っ赤な電動アシスト自転車。坂道が多い流山市に住んでいた時に購入し、これによって育児がかなり助かっている。しかし、仕事帰りの18時頃に幼稚園にお迎えに行き、寝落ちしそうな子ども(現在18kg)を抱っこしてスーパーへ入り、手には荷物、お財布をどうやって開けたらいいんですか!状態を考えると、自転車のまま入店できるスーパーがあったらいいのに、と本気で願っていた。
 ある日、道路に面した八百屋の店先で、「あ、トマトが安い!」と自転車を停めると、店のおばちゃんが持って来てくれた。ああ、なんて優しいんだろう。その優しさに付け込んだ私は、トマト分の216円を支払った後に、「すみません!ショウガもください!」とおばちゃんをレジまで二往復も歩かせてしまった。以来、彼女は私の顔を見ると、「どれにする?」と言ってくれる。人情味あふれる商店に感謝しつつ、総菜が買える販売所でも、自転車にまたがったままの指差しショッピング。このちゃっかりな行動を、自転車の後ろに乗っている娘が真似しませんように……。

食べるライター 片岡綾
2017年末に流山市から我孫子市に転居。おいしいものを探して自転車で街を駆け巡る日々の中、我孫子の食の豊かさに開眼。「食べるために生きる」がモットーの40代一児の母。

  

 4月27日に行った「さくらアートフェスティバル」のために、詩人、谷川俊太郎さんについて調べたところ・・・つながっていたのです、我孫子に! ご尊父の谷川徹三氏(哲学者、法政大学総長)は、我孫子ゆかりの文化人、志賀直哉、柳宗悦と親交があったようです。思いがけない人が我孫子とつながっていたことを知る時、このまちの歴史・文化の深さを思わされます。大正時代の我孫子に、タイムスリップできたらいいのに。(Yu)

まち活マガジン あびこ市民活動ステーション情報紙 No.2 2019年5月号
発行日:2019年5月1日 発行元:あびこ市民活動ステーション(指定管理者:㈱東京ドームファシリティーズ)
情報紙制作監修:『gente(ヘンテ)』編集長 大澤元貴

 

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このページは、「まち活マガジン2019年5月号」を、
ホームページ用にリメイクして載せたものです。
印刷版の画像は、以下からご覧いただけます。

 
 
 

 

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