まち活マガジン 2019年4月号(No.1)
特集 : シニアが活躍するまちを目指す「こもれび近隣センター」
あびこのおいしいみーつけた! : お客さんが待ち構える、有人野菜販売所
つなぐひと : ニュースレター一新!
シニアの「まち活」、
ここから始めませんか
東我孫子駅から、住宅街の中を迷路のように進んでいくと、
信州の高原に来たかのようなすがすがしい林が広がり、
その中にしっくりと溶け込んだこげ茶色の木造建築が現れる。
我孫子市の住民であれば誰でもが利用できる集会施設のひとつ、
「こもれび近隣センター」だ。
「こもれび」の中に一歩入ると、
個人宅の居間に入りこんだようなくつろぎ感に包まれる。
吹き抜けのロビーには、明るい光が射しこみ、かすかにコーヒーの香りが漂う。
子ども連れのお母さん達はなごやかに談笑し、シニア男性は読書に没頭する。
おしゃべりに夢中な放課後の中学生達も見える。
ここに居る人達みんなを柔らかな表情にする、
「こもれび」の場の力を心地よく感じる。
シニアが活躍するまちを目指して
「こもれび近隣センター」の外観 こもれびを感じることのできる大きな窓と木々の香りを感じるテラス まるで映画のワンシーン
「こもれび」は、毎年4月にシニアの地域デビューの会場となる。今年は13日(土)に「第6回ボランティアメッセ―地域デビューふれあい祭り2019」(天王台地区社会福祉協議会主催)として開催され、市民活動ステーションも今年から相談ブース出展の機会を頂くことになった。
ボランティアメッセとはどんなものなのか、なぜこの地域交流事業を始めたのか、会長の細見英樹さんにお聞きした。
―どういった思いから、この事業を始められたのでしょうか。
ボランティアメッセを始める前から、地域で福祉活動をやっている団体や自治会の情報交換の場として、年1回、福祉懇談会を行っていました。しかし集まるメンバーも内容も、毎年同じようになってきていました。この地域も高齢化が進み、65歳以上になった人達が定年してこれから地域に戻ってくる、その受け皿として何かできないだろうかと考えていました。ぼく自身も、現役時代は会社と家の往復で、地域を知りませんでした。定年が近づいてから、仕事を辞めたら何をやろうかと思うようになりました。そんな時に、同じように感じている人と出会い、「こもれび」でまちづくり協議会や地区社会福祉協議会の地域活動を始めました。そういう経験からボランティアメッセを思いつき、懇談会を地域の交流事業に切り替えることにしたのです。
―ボランティアメッセはどのような趣旨で行っていますか。
60歳代の定年層やお子様が成長され時間に余裕ができた中年層を対象に、「ABIKOげんきシニア」のため、地域で何かを始めるきっかけづくりを趣旨としています。構成は、①知る・自分発見、②体験する、③家族で楽しむ、④つながり・仲間探しの4つの柱で、これは毎年同じです。
―これまでの内容を教えてください。
まず2015年は「これならイケる!地域デビュー充実ライフは遊びからはじまる」をテーマに、15団体が出展し、参加者は250人と多くの方が集まりました。ホールには、ボランティア団体がブースを出し、関心のある人が直接団体から話を聞けるようにしました。車いすや点字という福祉体験や「食」という要素を入れ、家族連れで来てもらうことをねらいました。川村学園女子大学に協力を依頼して、学生ボランティアに子ども向けの折り紙や工作をしてもらいました。
イベントの最後は「天王台おかえり交流パーティ」で締めくくりました。「ボランティアを始めたい」という来場者も出てきたので、催しとして成功しましたね。
―翌2016年には、何か変えた所もありましたか?
ボランティアに加え、「大人の部活動」を新たなテーマとして入れました。
体験も増やし、防災・救護、コーヒーの入れ方教室、子ども向けに石けんの作り方講座も開きました。
―毎年新しい要素を取り入れているのですね。
はい。2017年は「天王台発 大人のシュミ活紹介」をテーマにしました。マジック、太極拳、合唱、バルーンアート、防災・救護など、様々な活動を紹介しました。また、天王台商店会のやっている「まちゼミ」から、印刷屋さんにデジカメの使い方の、不動産屋さんに、購入・売却知識についての出前講座をしてもらい、地域の商店とも連携が出来ました。
―段々と盛りだくさんになってきました。では昨年はどうでしたか?
基本的な柱は、2017年と同じです。交流会を企画してきましたが、一般のお客さんとボランティア団体との交流だけでは最後まで残ってくれないので、最後はみんなで歌って終りにすることにしたんです。天王台地区に縁のある鳥谷部由美子さんを招いて行い、たくさんの人が参加しました。
―年をおうごとに改善をされてるんですね。今年の内容が楽しみです。少し教えてもらえますか?
定年後に野菜作りをしたいという人が少なくないので、我孫子市で就農し、「わが家のやおやさん風の色」という農園をされ、川村学園女子大学でも非常勤講師として講座を持つ今村直美さんに講演してもらうことにしました。また、スポーツへの関心も高いので、天王台地区のスポーツ団体も紹介することにしました。締めくくりは今年も鳥谷部さんを招き、地域の合唱グループと「平成最後の歌い納め」をします。
ボランティアの相談窓口を3つにしたことも、今年の最大のウリです。社会福祉協議会の「て・と・り・あ」は毎年出てもらっていますが、新たに我孫子市生涯学習課の市民講師による出前講座の紹介を入れます。そして、我孫子市ボランティア団体のキーステーションである市民活動支援課・市民活動ステーションにもお願いしています。
―お声をかけていただきありがとうございます。おかげで、今までできなかった出張相談を行うことができます。我孫子市に市民活動支援センターは1つしかないので、いろいろな地域に出かけ、少しでも市民活動ステーションの名前を知ってもらいたいと思っていたので、とてもいい機会です。ボランティアメッセは、定年シニアが地域を知り、楽しく参加できる工夫がほどこされていますね。
私達もいろいろなイベントを取り入れて、年々楽しくなってきました。若い家族にもぜひ来てほしいと思います。今後もボランティアを紹介しつつ、地域活性化をしていきたいと思います。
団塊世代後のシニアは、定年の延長や経済活動を優先させる傾向にあり、地域に関心を持ちにくいと言われています。とはいえ、いずれは戻る自分の地域。仕事と家の往復生活から一歩踏み出せば、地域の情報や知り合いが増え、心豊かに暮すことができるでしょう。
シニアの地域デビューを後押しする至れり尽くせりの天王台のボランティアメッセに、ぜひお出かけになりませんか。そば打ちボランティアによる「こもれび庵」のおそばも絶品です。もちろん、他地域にお住まいの方の参加も大歓迎です。皆さんのご来場を、お待ちしています。
こもれび近隣センター ————————- 住所 我孫子市東我孫子1-41-33 ウェブサイト http://fc10220120180500.web2.blks.jp/kinrin-komorebi/index.html |
お客さんが待ち構える、有人野菜販売所
忘れもしない。我孫子市に転居したての2018年1月のある朝。パジャマのまま、ベランダで洗濯物を干していたら、住宅街におばさまたちの行列が見えた。“……ん? アイドルでも住んでいるのかしら?”と首を傾げていると、そこに1台の軽トラが現れた。車が停まるや否や、おばさま方が我先にと荷台に手を伸ばしている。目を凝らすと野菜が見えた。近くの畑で野菜を育てている農家さんの有人販売所だったのだ。
ちょうど野菜の価格が高騰していた時期。100円、200円と安価でしかも朝どれの新鮮野菜と来たら、飛びつく気持ちは大いに分かる。私もパジャマでなければ小銭を握りしめてダッシュで駆け付けていたところだ。以来、幼稚園バスを見送った後、農家さんにオススメの調理法を聞きながら選ぶようになった。朝露がついた旬の野菜を使って、何を作ろうかなあと考えるのは楽しい。我孫子に来て、我が家の野菜摂取量は確実に増えている。
食べるライター 片岡綾
2017年末に流山市から我孫子市に転居。おいしいものを探して自転車で街を駆け巡る日々の中、我孫子の食の豊かさに開眼。「食べるために生きる」がモットーの40代一児の母。
4月から、ニュースレターを大幅に一新いたしました。手にとってじっくりと読んでもらい、また繰り返して読んでもらえるような冊子にしたいと思います。まちづくりはそこに住む一人ひとりの想いと、行動の結果が形になっていきます。我孫子の人・場所・想いをこの『まち活マガジン』で感じて、「私も何かやってみよう」と思う人が増えたらうれしいです。 野際里枝
まち活マガジン あびこ市民活動ステーション情報紙 No.1 2019年4月号
発行日:2019年4月1日 発行元:あびこ市民活動ステーション
情報紙制作監修:『gente(ヘンテ)』編集長 大澤元貴
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このページは、「まち活マガジン2019年4月号」を、ホームページ用にリメイクして載せたものです。印刷版の画像は、以下からご覧いただけます。