十人十色。vol.3 ~子育て世代のホンネマガジン~

2025 年 2 月発行/発行元:あびこ市民活動ステーション 千葉県我孫子市本町 3-1-2 けやきプラザ 10 階 TEL.04-7165-4370 E-mail abikosks@themis.ocn.ne.jp 表紙・紙面デザイン / 島 里菜子

キャリアと聞くと、仕事を連想しがちですが、語源はラテン語のcarraria(わだち)。仕事だけでなく、子育ても立派なキャリアです。育児、家事、仕事のバランスの取り方は、人それぞれ。
育休を約1年間取 得したパパ、正社員のママ、育休中のママにインタビューしました。

CASE1 育休経験のあるパパ

自分と家族のために決断した育児休業

下の子が生まれた際に1年2ヶ月の育休を取得しました。介護業界で働いており、人のケアや成長に関心があったため、育児を経験してみたいと思っていました。

また、二人目の妊娠と同時期に妻の持病が再発したことも育休を決めた大きな理由です。職場では男性の育休取得実績があり、特に周囲からの抵抗もありませんでした。ただ、1年という長期の取得は珍しかったので、スムーズに仕事を引き継げるように上司や同僚とコミュニケーションを取ることを心がけました。一人目の子どもが生まれた時、営業職だったため帰宅が遅く、育児は妻に任せきりで。その時も育児が大変な様子は聞いていたのですが、聞くのと実際にやるのでは全く違いますよね。そのため、次女の時には、実際に育児を経験することで妻と同じ目線で話ができるようになりたいと考えていました。

また、社会全体でも共働きが増える一方、育児や家事を妻だけに任せるのは不公平なのではないかという思いもありました。育休中は、食事作り、掃除、洗濯、保育園の送迎、行事への参加など育児と家事全般を担当しました。特に、子どもの成長を間近で見られることは貴重な体験でしたね。寝返り、はいはい、歩きはじめなどの瞬間を見守ることができ、かけがえのない経験でした。今では、娘たちはすっかりパパっ子になっています。

家庭とキャリアを両立するために大切なこと

育休取得後は、家事や育児の分担を夫婦で相談しながら進めています。妻が在宅ワークの日には一緒に昼食をとりながら話すなど、定期的にコミュニケーションを取り、家庭や子どもの状況をすり合わせています。私が休みの日には掃除や洗濯を担当し、子どもの急な体調不良時の対応もしています。職場の理解もあり、柔軟に仕事を調整できる環境が整っています。

自分のキャリアパスややりたいことは、子どもが成長して手がかからなくなった時に改めて考えればいいと思っていて。子どもが幼い今は、子どもたちや妻と過ごす時間が最優先であり、家庭のバランスを大切にしています。家庭の役割分担は、家庭ごとに異なって良いと思います。ただ、その前提にあるのは夫婦間のコミュニケーションだと感じています。

CASE2 正社員のママ

 現在は小規模保育園の調理師をしています。以前は保育士でしたが、給食の仕事にも興味があり、調理師免許を取得しました。通勤は車で約 45 分間かかります。もっと近いところに勤めて子どもとの時間を増やした方がいいのかなと思いつつも、園児から「給食おいしかったよ。また作ってね」と言われたり、保護者から「アドバイスのお蔭で子どもが食べられるようになりました」と感謝されたりすると、今の職場で必要とされているとやり甲斐を感じます。

仕事と育児の両立で大変なことは、基本的に一人で調理しているので急に休めない時があること。子どもの体調不良の際は、隣市に住む両親に助けてもらいますが、そばにいられないことが辛いです。娘から「お母さんがいなかったから泣いたんだよ」と言われて、心の中で「ごめんね」と思いながら、「気持ちを話してくれてありがとう。◯◯が頑張ってくれたお蔭で、保育園の子どもたちが給食をおいしく食べてくれたんだよ」と伝えたら笑顔になりました。子どもの誕生日に将来の夢を聴くと娘が「お母さんと一緒に保育園のお給食の先生になりたい」と言ってくれたことがとても嬉しく、モチベーションになっています。

家では疲れて手抜きしたり、外食する時もありますが、会話をしながら楽しい家族の団らんを一番大事にしています。夫は掃除、洗濯を担当し、最近では長男も手伝ってくれます。慌ただしい日々ですが、毎 朝三人それぞれに「生まれてきてくれてありがとう、大好き」と言ってハグして送り出しています。子どもたちと一緒に過ごせる今しかない時間を大切にしたいです。

CASE3 育休中のママ

独身時代はウエディングプランナーをしていました。結婚後は二人の娘を育てながら結婚式場などでパートとして働いてきました。三女が生まれたので、今は育休に入っています。実は出産するまで子どもは苦手だったのですが、産んでみたら我が子だけでなく、他の人の子どもも愛おしく思えるようになりました。

私は農家の一男三女の末っ子でした。両親は早朝から家におらず姉たちとも年が離れていたので、おやつを食べるのも一人で寂しい思いをしました。子どもたちに同じ思いはさせたくないので、子育て中はなるべく家にいて一緒の時間を過ごすようにしています。いろいろな経験をしてほしいとも思っていますので、地域の子育てコンサートやダンスレッスンなどに連れ出すようにしています。

子どもたちが成長したら在宅勤務できるフルタイムの仕事に就きたいと考えています。難しいかもしれませんが、税理士になってシングルマザーの人たちを助けたいのです。子育て中の今は、資格試験のための勉強時間を捻出することができます。夜9 時には子どもたちと一緒に寝るので、朝早く起きて勉強するつもりです。

CASE4 会社の制度を利用する働き方

 一人目の子どもが生まれた時は、育児休業を 1 週間取り、仕事が忙しい中でも入浴やおむつ替えなどやれることはやるようにしていました。生後6ヶ月の時に保育園に入れ、出社時間を1時間遅らせることにしました。子どもの身支度に時間がかかり、慌てることも多くなったためです。子どもが病気になった際は「子の看護休暇」制度を使いながら、夫婦で仕事を調整しました。

 第二子出産を機に妻が里帰りしていた数週間は、保育園の送迎も含めて家事すべてを1 人で行いました。上の子は赤ちゃんや母親に会えなくて寂しさもあったと思いますが、一緒に乗り越えてくれました。

 その後、新型コロナウイルスが流行し、園が閉鎖。私たちは急遽在宅勤務になりましたが、幼い子どもたちの世話で精一杯でした。夫婦共に夜中に仕事をせざるを得ず、身体がもちませんでした。職場に事情を説明し、園が再開するまで特別休暇を認めてもらいました。コロナという未曾有の出来事に会社も混乱していましたが、現状を理解し、判断してもらえて良かったです。現在は週1回在宅勤務をしています。

 仕事と家庭・育児のバランスはその時々で変化するため、計画通りに行かないもの。自分たちの身体の不調や体力の衰えは誰にでも起こりうることだと思います。だからこそ、職場や家族などに伝えて理解してもらい、調整していくことが大事だと思います。

編集後記

子どもも親もそれぞれ個性があり、子育てのカタチは多様でいいのだと改めて実感。情報が手軽に得られる時代だからこそ、直接会って話を聴くことの大切さを感じられた取材でした!(てらこ)

日々の洋服選びでは、自分が落ち着く方程式ってありますよね。けれど、その法則の一歩先に見える別の景色があるのかも。皆さまの「十人十色」が見つかることを祈って。(Canako)

今回もオール我孫子にこだわり、制作しました。協力してくれた皆さまに感謝です。先日自分のキャリアの棚卸しをした際、産後は市民活動が加わっていることに改めて気づきました。(あや)

 よくある質問です。赤ちゃんがママのお腹から体外に出て、生きる力を育てるために、おもちゃは必要です。ただし、どんなに良質なおもちゃを与えても、「これ楽しそうだね、やってみる?」、「よくできたね!」といった人との関わりがなければなんの意味もありません。人は遊びを通して五感を磨き、コミュニケーション能力を養います。おもちゃはそのためにあると思います。

 ママやパパや周りの人の声と顔と手は、最大のおもちゃになります。赤ちゃんが体内にいるときからお腹の外の声は聞こえていると言われています。赤ちゃんに触れたり、語りかけたりして、安心してこの人たちに自分の生を預けられると感じさせる経験が大切です。

 外出中でおもちゃがない時、顔を手で隠してばあっと見せる「いないいないばあ!」はいかがでしょうか。「いっぽんばしこちょこちょ」も、お互いの体温を伝え合うことができます。保護者の方から、「うちの子はおもちゃで遊ばないんです」という声も聞きます。例えばスプーンで遊ぶ子は、形の不思議さや重さに興味をもっているのかもしれません。なめたり、にぎったりしながら、五感を育てているのです。子どもにとっては、おもちゃと生活用品の境目がなく、遊びのすべてが生活に結びついている
のです。

 赤ちゃんは体内でママの心臓の音や血流の音を聞いていたので、幼い頃は優しい音のものが良いですね。親子で耳を澄ませて鳥のさえずりを聴いたり、風の音を聴いたりする経験も大事です。おもちゃであれば、プラスチックよりも木のほうが優しい音がします。通称ガラガラと呼ばれるラトルや、光を通すビー玉を使ったおもちゃなどがおすすめです。また、赤ちゃんはスピードの速いものは目で追えません。イメージとしては、ママの鼓動くらいのゆっくりとしたリズムが良いと思います。

 私が学芸員を務めている東京おもちゃ美術館では、あれも、これもとお子さんに与えている保護者を見ることがあります。子どもがひとつのおもちゃに夢中になっている時は、それに追求させるのが良いと思います。種類がありすぎて迷ってしまう時は、ママやパパが気になるおもちゃを選んで、お子さんと一緒に遊んでみてください。楽しさも伝わりますし、同じおもちゃを並べて、子どもより少し複雑なものを作ってみたりすると、それを見て学んでいきます。

 子どもにとって大切な存在は、ママ、パパ、家族の皆さんです。そして、地域などのいろいろな大人と関わり、遊ぶ体験が成長につながります。大人も、ご自分のお子さんだけでなく、様々な年齢、性格、発達のお子さんの姿を見たり、関わってみてください。視野が広がり、子育てのヒントが見つかると思います。

 親という漢字は、「木の上に立って見る」と書きます。みんなで子どもの育ちを見守っていきたいですね。


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