まち活マガジン2023年1月号(No.25)
- 2022/12/25
- まち活マガジン
自然の不思議に驚き
人生に飽きることがない
自然界の神秘や不思議さに目をみはる感性(the sense of wonder)を
子ども達に持ち続けてほしいと願ったレイチェル・カーソン。
その思いを引き継ぐ人達は、日々感動の心を持ち、人生に飽きることがない。
Contents.
まち活団体紹介
レイチェル・カーソンあびこ
あびこのおいしいみーつけた!
餃子の伍九
我孫子 白樺派のカレー物語
第4話 レトルトカレー×学校給食=子ども向けカレーの開発へ
つなぐ人~コーディネーターより~ 片岡綾
布佐の魅力を改めて知った2022年
アメリカの海洋生物学者で作家のレイチェル・カーソンが『沈黙の春』(1962 年)を出版してから、今年で60年になる。残留農薬による生態系破壊の危険をいち早く指摘し、環境運動と政策を揺り動かした書である。その思いを伝えるために活動する「レイチェル・カーソンあびこ」について、島藤紘子さんと檜山律子さんにお話をうかがった。
Q:レイチェル・カーソンに関心を持つようになったのはなぜですか。
島藤:上遠恵子さんとの出会いが、なんといっても一番のきっかけです。上遠さんは、レイチェル・カーソンのほとんどの著作を翻訳しています。高校時代の同級生が『センス・オブ・ワンダー』(1996年/新潮社)の写真を担当していて、「自然が好きなら上遠さんにお会いしてみたら」と誘ってくれました。清里で行われた講座でお目にかかったところ、すばらしいことをやっているのにまったく偉ぶらない方で、「先生呼ばわりしたらお付き合いしません」と言われ感動しました。
檜山:島藤さんと私はボーイスカウトの活動がご縁で知り合い、清里の自然観察会に誘われて参加して興味を持つようになりました。伊勢の自然の中で生まれ育ったので、田舎暮らしが好きなんです。
Q:会の設立はいつですか。
島藤:2003年の4月です。『センス・オブ・ワンダー』を読んで感じたことを、我孫子で広めたいと思いました。当時は汚染がもっとひどかった手賀沼を、きれいにしたかったということもあります。会を立ち上げたいと話したら、中学時代の同級生が資金を贈ってくれ、もらったからにはやらなければと背中を押されました。立上げの時には、上遠さんを我孫子に招いて講演会をしました。
Q:活動内容を教えてください。
島藤:現在の活動は、レイチェル・カーソン日本協会関東フォーラム(以下、関東フォーラム)からの依頼で年1~ 2 回、手賀沼観察会をやっています。小さい子ども向けの観察会はぜひやりたいことで、年に1 回は行っています。関東フォーラムの会報『しおかぜ』の発行を請け負い、年4 回出しています。
その他、市民活動団体の行うイベントには、「市民活動フェアの時代から参加してきて、今年も「市民のチカラまつり2022」に参加しました。
Q:『沈黙の春』出版60 年記念として、どんなことを行いましたか。
島藤:関東フォーラムからパネルや著作が貸し出されるので、市民のチカラまつりの時にけやきプラザ第2ギャラリーに展示しました。多くの人に見てもらうことができ、レイチェル・カーソンについても話せました。
Q:会が大切にしているのはどのような点ですか。
島藤:子どもに関わっている多くの大人たちに、自然の中で子どもと一緒に感動できる人でいてほしいと願っています。地球環境保護を難しく考える前に、人間も自然の一部であると感じて日々を暮らすことが大事だと思います。自然が大好きで、自然の中にいることが幸せと思う人、環境やスローライフに関心のある方ならどなたでも歓迎します。
Q:レイチェル・カーソンの魅力を教えてください。
島藤:『センス・オブ・ワンダー』の中に、次のような一節があります。
「わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭を悩ませている親にとっても、『知る』ことは『感じる』ことの半分の重要ではないと固く信じています。
子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生み出す種子だとしたら、さまざまな情緒や豊かな感受性は、その種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです」(p.24)
この部分が好きです。レイチェル・カーソンはむずかしいことは言わず、誰にでも伝わる言葉で書いてくれているところがすばらしいなと思います。
檜山:自然が化学で変わっていくのは嫌、プラスチック公害をなくしたい、なるべく自然を残したいと思います。レイチェルは表立った反対活動はせず、書き物で自然の大切さを伝えているところに賛同します。
Q:今後の活動の展望についてお聞きします。
島藤:引き続き、自然の大好きな子どもたちを育てたいです。近隣センターこもれびで2~3 歳児の自然遊びとして、梅雨の時期に「小さな森づくり」を行っています。森の中の幼木を鉢に植え替え、家に持って帰って育てるというネイチャーゲームです。幼木は、そのままにしておいても踏みつぶされて木に育たないのです。こういう活動を続けていきたいですね。
檜山:あれは楽しいですね。私は現状の活動を維持していけたらと思います。40 歳代の男性が加わり、フットワークが軽くて写真も上手なので会員として育ってくれるのを楽しみにしています。
大きな虹のアーチをくぐった時の感動、水滴でレースのように見える蜘蛛の巣を眺めていた忘我の時間、庭に咲く満開のバラの香りに酔う幸福感など、子どもの頃に自然の美しさ、不思議さに出会って心動かされたことをずっと忘れていた。「人間も自然の一部と感じて日々を暮らすこと」が当たり前だった頃は、生活は質素でも幸福感に満ちていた。いや、今からでも遅くないかもしれない。センス・オブ・ワンダーという言葉に出会うことができたのだから。
様々な餃子メニューが楽しめる湖北の新店 |
夜になると、居酒屋の明かりがポツポツと灯る湖北駅南口に、2022 年6月5日、「餃子の伍九」がオープンした。店主の鈴木さんは会社員時代に出張の機会が多く、おいしいものに出合うと妻を連れて行った。「飲食店は自分で定年が決められる仕事」と会社を定年退職した後の開業を夢見ていたが、友人が病で倒れたのをきっかけに、「やりたいことはすぐにやろう」と予定を前倒しにした。夫婦で営業できる広さの物件を探し、湖北に決めた。
看板メニューの焼き餃子は小ぶりだがパンチの効いた味で、鈴木さんの母の秘伝で隠し味に味噌が入っている。試行錯誤の末、餃子の旨みが染み出した「水餃子とんこつラーメン」が完成。さらに、具を通常の餃子の3 倍にし、甘めの自家製生地で包んだ「上げ揚げジャンボ餃子」、海鮮だしの「スープ餃子」と、バリエーションを増やした。当初からのメニューでサクサクの唐揚げや上品な春巻きもあり、定食、組み合わせ、単品と、自在に選べる。定食のモチモチとした三分づき米、自家製味噌漬けや日替わりの汁物もメインディッシュを引き立てる。吟味した調味料や素材、そして水が飽きの来ない味を創り上げる。
メニューアイデアと接客は鈴木さん、調理は妻と役割分担をしながら、店の雰囲気はとても温かい。「素人が始めたので大変ですが、お客さまの喜ぶ顔を見るのが嬉しいです」と二人。「お子さま連れの方にも心地良く過ごしてほしい」との心遣いも随所に感じられ、娘はすっかり伍九ファン。親子で赤提灯に引き寄せられてしまう今日この頃だ。
食べるライター 片岡 綾 おいしいものを探して自転車で街を駆け巡る日々の中、我孫子の食の豊かさに開眼。「食べるために生きる」がモットーの40代一児の母。 |
白樺派文人達の足跡を新たな角度から考えようと
柳宗悦夫人、兼子さんのカレーが再現されました。
誕生のエピソードや普及の過程について、
知ればさらに味わい深くなるお話を4 回シリーズで紹介します。
第4話 レトルトカレー× 学校給食=子ども向けカレーの開発へ
初めてお店のメニューに登場したその翌年には、待望のレトルトカレーが誕生しました(第1話参照)。浮沈の激しいこの業界で14年間続けてこられたのは、全国こだわり商品の食品問屋・株式会社五味商店(寺谷健治代表取締役、市内本町)が「地元のお役に立つなら」と、生産クオリティの高い2つのメーカーとの間に立って、全面的に協力してくれていることが大きいのです。我孫子市のふるさと産品として、イトーヨーカドー、京北スーパーをはじめいろいろなお店に並んでいます。
活動が大きく飛躍したのは、川村学園女子大学のお二人の教授が参加してからの事です。レトルトカレーのラインアップに川村女子大チキンカレーが加わったことがそれを表しています。
普及会では、子ども達の「食育」にも取り組んでいます。学校給食です。2011年に湖北台中学校で始まった白樺派のカレーの給食は、今では市内の全て、19の小中学校の給食に登場しています。白樺派のカレーが出る時は、柳宗悦・兼子夫妻をはじめ白樺派の文人たちの話もしているそうです。小中学校全学年共通副読本『ふるさと我孫子の先人たち』の中でも、「『白樺派のカレー』誕生秘話」として紹介されています。
普及会はボランティアの集まりで、広告費などはないのですが、新聞、テレビの記事や話題としてよく取り上げられていることが、このカレーの知名度、好感度のアップにつながっているので、報道各社に感謝しています。
今後は学校給食の実績を踏まえて、安心安全な子ども向けカレーの研究・開発にも取り組んでいく所存です。
11月5日開催の「出張市民のチカラまつり@布佐」に向けて、ふさの風まちづくり協議会、あびこ市民活動ステーション、我孫子市役所が協働で『布佐はいいまちだマップ』を作成した。窓口に来た方が「今度この店に行ってみたいわ」と言ってくださるのが嬉しい。近隣センターふさの風に通い、人と出会い、布佐の魅力を改めて知った2022 年だった。(片岡綾) |
施設利用のご案内 我孫子で活動を「みつける」「はじめる」お手伝いをしています。 ■開設時間 9:00-21:00 17時以降は予約のみ開館。17時以降のご予約は2日前までにお願いします。 ■休館日 毎月第2・4月曜日 祝日は開館270-1151 我孫子市本町3-1-2 けやきプラザ10階 Tel・Fax 04-7165-4370 https://www.td-f.co.jp/abikosks/ abikosks@themis.ocn.ne.jp |
まち活マガジン あびこ市民活動ステーション情報紙No.25 発行日:2023年1月1日/発行元:あびこ市民活動ステーション[指定管理者:(株)株式会社東京ドームファシリティーズ] デザイン・レイアウト/人を通して障害を識るフリーペーパー「gente」編集長 大澤元貴 |