まち活マガジン2022年6月号(No.22)
- 2022/5/29
- まち活マガジン
世代交代で躍進する
シニアの居場所づくりの先達
パソコンを学びたいと思うシニアなら、「アシラネ」という名前を一度は
耳にしたことがあるだろう。湖北を拠点に、カリスマ的なリーダーに
担われてきた。今、世代交代の時を迎え、さらに躍進しようとしている。
Contents.
まち活団体紹介
NPO 法人あびこ・シニア・ライフ・ネット(アシラネ)
あびこのおいしいみーつけた!
Organic Sweets M&M
我孫子 白樺派のカレー物語
第1話 物語の前に
つなぐ人~コーディネーターより~ 高橋由紀
コーディネーター冥利に尽きる時
20年の歴史を持つパソコン系団体、NPO法人あびこ・シニア・ライフ・ネット(以下、アシラネ)の理事長が交代したと聞き、新理事長の山本早苗さんと広報担当の島田祐子さんにこれからのアシラネについてお話をうかがった。
Q:佐々木理事長率いるアシラネのこれまでについては、貴会のホームぺージにまとめられているので、現在の活動を中心に聞かせてください。まずは「あしらねデジタル塾」について、この事業はいつから始めたのですか。
山本:佐々木前理事長が、パソコンの訪問サポートをやっていました。その頃は「一粒の麦」(高齢者のための地域の拠点)に場所を借りて、週1回、講座もやっていました。2013年にスーパーマスダの3 階に事務所を持つようになり「アシラネパソコン教室」を開きました。翌2014年からは「あしらねデジタル塾」(以下「デジタル塾」)と名称を変え、シニアのIT弱者の味方となることを目的に、とことんシニアと付き合いながら行っています。90 歳以上の人が毎週来てくれることも、すごく励みになっています。
Q:「デジタル塾」のプログラムを教えてください。
山本:活き活き教室、Wordプラス、スマホ入門講座、デジタルサロン、デジタル囲碁サロンを行っています。子ども向けのプログラミング教室もやっています。活き活き教室は、認知症予防講座です。タブレットで検索したり、歴史上の人物クイズを解いたり、計算や論語など脳活になることを行います。最初は準備体操から始まり、「ぱたから体操」などからだも動かします。Word プラスは、Word の他、Excel やPowerPoint も教えています。デジタルサロンは、1対1 で受講者の質問に答えながら教えます。「デジタル塾」は会員制ではなく、プログラムごとに申込制をとっているので必要な時に参加できます。
山本:受講者は、年齢的には70 歳代、80 歳代が多く、90 歳代もめずらしくありません。月に100人くらいが利用しています。
島田:山本理事長の講座は、教えることよりもおしゃべりの時間が長くて。山本さんと楽しく話すことを目的に来ている人が多いようです。
Q:そもそもアシラネにご縁ができたきっかけを教えてください。
山本:2010 年に入会しました。仕事の中で十分に覚えられなかったので、パソコンをしっかり習いたいという思いがあって、「一粒の麦」に拠点があった時代に、Word・Excelを習いました。そうしたら、シニア情報生活アドバイザー養成講座を受講するよう勧められ、受講後にアシラネの運営に関わるようになり、今に至ります。
島田:山本さんは、アシラネで一番若いけれど、活動歴は一番長いのです。それで理事長に推薦されました。
Q:アシラネ事業のもう1つの柱である便利屋事業についても教えてください。
山本:佐々木前理事長がパソコンのサポートをしていた時に、高齢者から草むしりをしてほしいなど困り事の相談を受けたことがきっかけで、便利屋事業を始めたそうです。活動する人も、サービスを利用する人も会員になります。活動会員は申請書を出し、入会金2,000円と年会費6,000円を払い会員になります。特に資格はいりません。便利屋としての作業代金1200円/時間を利用者からいただき、200円を会に納め、1000円は本人が受け取ります。便利屋をもっと増やしたいので、60歳代から70歳代の人が増えたらいいと思っています。
利用会員は、入会金1,000円で年会費はありません。作業ごとに謝礼を支払います。高齢者からの要望が多いのは、庭木の剪定、雑草取り、荷物の処分、ごみの処理などです。現在、活動会員は7人、利用会員は累積で760人が登録しています。
Q:コロナ禍で活動に影響はありましたか。
山本:1 人暮らしの高齢者はどこへも行かず、コロナの間はアシラネしか行かないという人もいるので、講座を休んだのは2 か月だけでした。利用者も、「ぼけて死ぬなら、コロナで死んだ方がまし」などと言い、続けて来てくれる方もいらっしゃいます。教室が広く、ソーシャルディスタンスが取れることも影響していると思います。うれしいことに、コロナのせいで利用者が減少したということはほぼありませんでした。
Q:ここ数年、広報活動により力を入れているそうですが。
島田:はい、ホームページの更新と広報紙のリニューアルを去年の1月に行いました。ホームページを更新したことで、見やすくなった、わかりやすくなったと言われ、事業への問い合わせが増えました。広報紙は、縦書きを横書きに変え、これまでは文字が多かったので写真を多くして見やすくしました。配布方法も、以前は活動会員が利用会員に配達していたのですがそれをやめて、近隣センターなど公共施設を中心に置くようにしました。部数を1,000 部から700部にしたのは、昨年のことです。
Q:アシラネの周知のために、いろいろと工夫されているのですね。今後の抱負を聞かせてください。
山本:活動会員の1 人1人の強みを伸ばし、自主性を重視したいと考えています。個性あふれるみんなをダイヤモンドの原石のようだと思うので、磨いていきたいと思います。
島田:「デジタル塾」は、山本さんが塾長になってからとてもフラットな関係になりました。以前は自分の意見を言うのをためらう雰囲気がありましたが、現在はそんなこともなくなり、来ていてより楽しくなりました。フラットな関係で、活動を発展させていってほしいと思います。
山本:これまで全く意見を言わなかった人が、言うようになりました。意見が言いやすいのは、伸びる団体だと思います。松下幸之助さんのように、自分には能力がないけれどいろんな人にお願いしてやっていけているのだと思います。
島田:大げさなことは必要なく、みんなで仲良くやれればそれが一番です。
山本:みんなボランティア精神豊富で、頼んでも気楽に引き受けてくれ助かっています。
島田:理事長が日頃から頑張っているので、みんな協力しようと思うのです。
山本:もっと躍進して、地域の方々にアシラネを知ってほしいと思っています。そんな思いから、「エクセレントNPO 大賞コロナ対策チャレンジ賞」に応募して、ノミネートされることができました。去年は、「市民のチカラまつり」の企画委員になり、色々な経験ができました。今後は他機関と連携した事業も進めていきたいと思います。
アシラネは、2017年に「第15回 読売福祉文化賞」を受賞するなど、全国的にも活動が高く評価されてきた。その歴史を引き継ぐのは重荷ではないかと思ったが、山本理事長には気負いは感じられず、メンバーの個性を生かし運営を進めているようだった。市民活動団体の世代交代の難しさをよく聞くが、「一番若い人」あるいは「女性」を代表に置くという発想の転換が、団体の将来性につながるように思われた。今後のアシラネの躍進に期待したい。
HP : https://www.asln1.com
E-Mail: asln.digital.ps@gmail.com
心と身体に優しいオーガニックの焼き菓子専門店 |
「Organic Sweets M&M」は、2021 年3月に新木駅北口に開店した横内夫妻が営む焼き菓子専門店だ。
都内の洋菓子店勤務と製菓専門学校の助手のキャリアを持つ満里奈さんは、パティシエの夫、聖人さんの父が自然農をしていることから、添加物などの食品の安全性を学ぶようになった。ある日、ドーナツの素材をオーガニックの牧草を食べた牛のミルクから作るグラスフェッドバターや平飼い自然卵、コロンビア産のオーガニックシュガーに変えた。すると香りや味が大きく変わった。その「魔法のドーナツ」が新松戸にあるオーガニック・スーパーマーケット「クランデール」のオーナーの舌に留まり、月1回のココマルシェで販売したところ、お客さまから好評をいただいた。2 人が26 歳の時、「おいしいだけでなく、身体にも優しい、本来あるべきお菓子」をテーマに、オーガニック素材のみを使った焼き菓子専門店を開くことに。子育てと
の両立を考え、オンライン販売をメインに、週に2日店舗を営業することにした。材料費が反映する価格の高さに驚くお客さまも、一度食べるととりこになり、少しずつ客足が増え始めた。
今年3月で開店1周年を迎えた。リピーター客から「子どもが我慢できずに買ってすぐに車で食べています」と言われ、「お子さんに喜んでもらえるのは特に嬉しいです」と満里奈さん。シェフパティシエの聖人さんと共に2026 年には店舗規模を大きくし、生菓子やアイスクリームの販売をしたいという目標も掲げる。ぜひ「魔法のドーナツ」を食べてみてほしい。柔らかな甘さで、食べると不思議と心が穏やかになるから。
食べるライター 片岡 綾
おいしいものを探して自転車で街を駆け巡る日々の中、我孫子の食の豊かさに開眼。「食べるために生きる」がモットーの40代一児の母。 |
白樺派文人達の足跡を新たな角度から考えようと
柳宗悦夫人、兼子さんのカレーが再現されました。
誕生のエピソードや普及の過程について、
知ればさらに味わい深くなるお話を4 回シリーズで紹介します。
第1話 物語の前に
143,952個、これは2008年の発売以来本年2月までの14 年間にご購入いただいた「白樺派のカレー・レトルト」の数です。平均して年間11,000個、月に約900個といったところです。マスプロダクションの商品ならとっくに市場から消えている量ですが、多くの皆様のご理解・ご支援の上に成り立った貴重な数字です。最初にチキンとポークの2種類、その後ビーフを追加して、さらに川村学園女子大学と提携した新しいカレーも誕生しました。
レトルトカレーの発売に先駆けて、2007年4月には我孫子市内のレストランに「白樺派のカレー」が登場しました。今でも市内3 店舗で提供されていて、レトルトカレー同様好評をいただいております。そして、市内の小中学校の給食にも登場するようになりました。それぞれの学校の栄養士さんが、特徴のあるおいしい「白樺派のカレー」を作っているのです。食育ですね。
私たち「白樺派のカレー普及会」(以降「普及会」)は、市民活動団体として、多方面にわたる皆さんのご理解・ご指導そしてご支援をいただきながら活動してまいりました。レトルトカレーを扱っているのに市民活動団体?と思われるでしょうが、私たちは文字通り「普及」の為の活動を、ボランティアで行っている小さな団体です。
この度、あびこ市民活動ステーションより機会をいただきましたので、次号以降「生い立ち」と「普及会」について紹介させていただきます。
最近、「何かを始めたい」、「やっていることを発展させたい、「助成金に挑戦したい」という相談が増えてきました。新しいエネルギーが結集し、おもしろそうなことが我孫子で次々始まっていく予感がします。相談から、つながりやおもしろい活動が生まれる時、コーディネーター冥利に尽きると感じています。(高橋由紀) |
施設利用のご案内 我孫子で活動を「みつける」「はじめる」お手伝いをしています。 ■開設時間 9:00-21:00 17時以降は予約のみ開館。17時以降のご予約は2日前までにお願いします。 ■休館日 毎月第2・4月曜日 祝日は開館270-1151 我孫子市本町3-1-2 けやきプラザ10階 Tel・Fax 04-7165-4370 https://www.td-f.co.jp/abikosks/ abikosks@themis.ocn.ne.jp |
まち活マガジン あびこ市民活動ステーション情報紙No.22 発行日:2022年6月1日/発行元:あびこ市民活動ステーション[指定管理者:(株)株式会社東京ドームファシリティーズ] デザイン・レイアウト/人を通して障害を識るフリーペーパー「gente」編集長 大澤元貴 |